試合を終えて

 全ての試合が終了し、王国に帰還する時がやってきた。

 僕らはサリスに一応断りを入れようと話すと、 


「ほう、ティオレか……」

 

 名前を知っているようで気のせいか、少し苛立っているように思えた。

 そう言うわけで、彼女はサリスから学院の特待生として次の年に入学が確定した。

 王国の生徒となれば、国としての市民権を得ることが出来るからだ。

 学院の後ろ盾があれば、何があったとて王国は介入することはできない。

 それに彼女は孤児院で何かと不詳な存在だ。

 学院に匿う事で面倒な問題は、大概は解決する。

 そうして僕らは学院へ帰ることになった。

 

「よかったね」


 ミリスが声を掛けるが、ルナは上の空で何も答えない。

 きっとこれからの事を考えているのだろう。

 ティオレさんはどうしてこの子を放って出ていったのだろう。

 親子……というわけではなさそうだ。

 話を聞く限り、一緒に行動していたようだが詳しいことは彼女は口を噤む。

 きっといえる事ではないのだろう。


「えい!!」

「ふぇ!?」


 レアが抱き着くと、驚いたような声を上げる。


「~~~~!!」


 レアの胸に顔がうずめられ窒息しそうになっている。


「レア、苦しそうだよ」

「お、ごめんごめん」

「ぷはっ」


 レアの胸から顔を話すルナ。

 

「ティオレさんに会えるといいね」


 僕がそう言うと、ルナは笑顔で返してくれた。

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