作戦開始

「ルミリナさん、合図したら 煙幕スモッグお願いします」

「彼に向かって打ち込めばいいのか?」

「えぇ、お願いします……」

「私も手伝うわ」


 そう言うと、ローブを被った女性が現れる。

 クレアの母だ。

 

「え、ママも参戦するの?」

「えぇ、向こうも終わったみたいだから」

「なら、私も参戦する~」


 緊張感のない感じで言うクレア。

 まるで親がやることに首を突っ込む子供の様だった。


「ふふっ、じゃあ煙幕頼めるかしら」

「え~、あれ苦手なんだけどな~」

「ルミリナさんでしたっけ? あなたはそうね、注意を引き付けて頂戴……特に聖魔法を重点的に……彼、弱点みたいだし」


 ルミリナと同じ加護だろうか、相手の弱点を見抜いて的確に指示を出している。


「サウル君、準備完了よ」


 そう言うとファリオスの前に魔法の壁が出来上がり、僕の身体が少し軽くなった気がした。

 身体強化の魔法だが、ここまで身体中から力があふれてくるのは初めてだった。


「軽い……」

「万が一の為、防御の君は彼のサポートを」

「しかし」

「この位の攻撃、私ひとりで行けるわ……別れるなら防御は必須でしょ?」

 

 ハナさんがそう言うと、ファリオスはルミリナを見る。

 そしてハナさんに向かいあい、静かに頷く。


「じゃあ、頑張っていきましょうか~」


 ハナさんの掛け声とともに作戦が始まったのだった。




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