狂者

 ウェルサは魔法を食らい、火傷して動けない男達に近づき蹴りを入れる。

 動けないのをいいことに一方的に、残虐的にそして笑いながら蹴り続ける。

 その光景はとても気持ち悪かった。


「そこまで!」


 カエラが言うが、ウェルサは聞こえていないのか彼らを蹴り続ける。


「やめなさい!」

「あぁ?」


 その目はカエラの方を捕えている。

 そういうと、カエラの方へ魔法を向ける。

 

「お前、誰に命令してんの?」

 

 彼の手から鎖がカエラに向かって放たれる。

 カエラは即座に動く。

 その動きは速いが、鎖の方が一足早く彼女の足を絡みつく。

 そして彼女の両手両足を拘束すると両手を広げようとする。

 不味い、広げられたら華奢な身体の彼女は両手足が千切れてしまう。

 この距離からは誰も間に合わない。

 ウェルサは笑いながら大きく両手を広げる。

 瞬間、銃弾の音と共に彼の鎖は消えてなくなる。

 ウェルサは音の方を見る。


「もう終わりって言われてるでしょ、いい加減にしなさいよ!」


 エレナが大声でそう言うと、ウェルサはエレナたちを見る。

 六刀法生勢揃いで彼を見ていた。


「ちっ!」


 周りにいる魔導士がウェルサを押されにかかろうと準備している。

 僕らも参戦の準備をする。

 状況が不味いと感じたのか、ウェルサは会場から出ていったのだった。

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