案の定の制裁

「うぅ……」


 案の定セシアの痺れが切れると、レアが正座していた。

 わかっていたことであるが、この場でやるセシアもセシアだ。

 会場の客席のど真ん中で年上の少女を正座させているのだ。


「私、やめてって言ったよね?」

「調子に乗りました、すみません」

「ま、まぁセシア……その辺にしとこう? 目立ってるし」

「ふん!」


 ミリスがセシアにそう言うと、彼女はソッポを向く。

 仕方ないわねといった感じで席に着いた。

 レアはミリスの方を涙目で見ながら感謝した顔で見つめる。

 それを見たミリスは「あはは……」っと苦笑いを浮かべている。


「剣技科とはまた違った騒がしさね」

「うんうん、騒がしさは違うけど騒がしいのです」


 僕の勝手な想像だが剣技科というからには血気盛んな面子……いわば体育会系のような感じだろうか。

 そういうと、僕達は席に着く。

 次の試合はウェルサVSフィオレスの一法生だ。

 あの力のウェルサとて向こうの上位の奴らと戦えば、普通は勝てるわけがない。

 普通はね……。

 そうして試合が始まった。

 向こうの剣技科の男が突っ込んでくる。

 その速度は速い。

 今の僕では剣だけでは太刀打ちできない程のスピードだ。


「ふん、脳筋が」


 そう言ってウェルサは前に出る。

 本来、魔道士が前に出ることはありえない。

 ましてやセシアのように使えるわけでもないのに前に出るなど愚の骨頂だ。

 剣をウェルサに向かって振り下ろそうとする。

 完全に間合いに入った。

 しかし、ウェルサを貫くことはなかった。

かった。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る