アリエとゼノン

「おいクソガキ」

「あ? 誰がクソガキだこの野郎」


 二人は互いににらみ合う。


「お前、随分仲間をコケにしてくれたな」


 六刀生のセイラの事だろうか。

 あれは彼女が煽ってきたから返しただけで、アリエ自身はそんなことをする気はなかった。


「セイラって人の事? あれは彼女が煽ってきたからですよ、私そんなに性格悪くないんで」

「だとしても、年上に対してあの態度はいけない……例え、セイラ《あれ》が悪くてもな」

「年上って、初対面であんなこと言われた方の身になってみてくださいよ」


 アリエをたしなめるゼノンに対し、彼女は面倒くさそうな顔で言う。


「まぁ、確かに セイラ《あれ》は性格に難があるやつだが、根はいい奴だぞ?」

「そんなんだから、不意打ちでやられるんですよ……しかも制限して負けるなんて、格好悪いにもほどがあるでしょ」

「仕方ないだろ、それが 六刀生俺達の対抗戦の掟だ」

「戦に制限なんてくだらないわよ」

「これ戦じゃない、競い合う場だ」


 ゼノンはそう言うと、構える。

 それにこたえるようにアリエも剣を生成する。


「お前がお望みなら、少し本気で戦ってやる」

「言い訳はいいわ、やりましょう……先輩」


 そう言うと互いに剣を交えた。

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