実力差

「くっ……!」

 

 セシアは弾丸が当たり、苦悶の声を上げ膝をつく。

 エレナも彼女の声と共に攻撃を止める。


「これ、威力は低いけど、連続だと痛いでしょ?」


 確かに、彼女の弾は一発は大したことはないが、蓄積されればそれなりの威力を誇っている。

 一撃はそれを退けたり避けたりすれば致命傷にならずに済むが、この攻撃は少しずつ蓄積されていくので少しずつ動きが鈍るのだ。

 スピードで分けて蓄積するか、一気に殲滅するかの違いだ

 膝をつくセシアを上から見下ろすエレナ。

 セシアは痛い身体に鞭を打って起き上がる。


「もうやめておいた方がいいんじゃない? 貴方の魔法じゃ、私には勝てないわよ?」


 彼女の言う通り、相性においても実力においてもエレナさんの方が圧倒的だ。

 だけど、諦めるわけにはいかない。

 皆勝つために必死に戦っているのに、首席である私が諦めるなんて許されない……許されるわけがない!

 彼女に諦めるという気持ちはなかった。

 エレナは彼女の黒い瞳を見ると、深く溜息を吐く。


「その目……いいわ、諦めるまで付き合ってあげる」


 セシアは魔法で加速して一気に距離を詰める。

 エレナは一瞬驚くが、直ぐに対応する。


「速いね、近距離戦なら勝てるって?」

 

 エレナの武器は遠距離戦、対するセシアの武器は遠近両方可能なのだ。

 即ち、エレナの方が不利になる。

 セシアとしては彼女の得意な戦いで勝利したかったが、もうなりふり構っていられない。

 プライドを捨てて突っ込む彼女だった。


 

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