戦いの火蓋

 リックとレキは動かず、ルミリナとミナの炎獣の魔法がぶつかり合う。

 二人はミナ達の戦闘にも目もくれず、互い目を見ている。


「動かないね」

「動かないんじゃない、動けないんだ」

「もじかして、ウオラが一度だけ出会ったとやった時みたいな感じ?」

「いや、あの人ほどではないが……あの感じに似ている」

「似ている?」

「多分だが、脳内で何度か戦っている」


 剣士同士は熟練となれば、互いに動いた時には決着が着くと前世で見たことある。   

 実際目にするとなんというか、緊張感が立ち込めるだけで攻撃出そうなもんだが……。

 

「この試合、いかに相手の裏を取るかが勝負だ」


 変に攻撃すれば、均衡が崩れ戦闘に支障が出るから他は攻撃しないのだ。


「なんか地味ね」

「そりゃ、剣技は一瞬が物を言うからな」


 剣技と言えば攻防の派手なイメージが強い。

 だが、修行は地味だ。

 魔法のように一々詠唱して魔法放つのとはわけが違う。

 一振りが己の研鑽だ、それを組み合わせる実践によって派手な感じになるのだ。


「そろそろ、来る!」


 そう言って彼らを見る。

 閃光のような雷と風のように優雅に舞うリック。

 しかしそれも普通の剣士では見えない程にはやかった。

 それも数秒、リックが膝をつく。

 互いに息が乱れている。

 

「やりますね」

「そりゃどうも!」


 互いに攻撃しあう。 

 金属音がしない、ただバチバチと轟音が響き渡っていた。

 

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