勝負の行方

 セナは ミナ《彼女》の魔法によって強化されたのをリックは理解する。

 やはり彼女では抑えきれなかったか……。

 ルミリナの方を見ると、少し苦戦している。

 こちら魔法面の戦力においては防御、火力共に最強の二人だ。

 しかし、両方ともそれぞれ特化しているためルミリナさえ抑えてしまえば、どうという事はなくなってしまう。

 相手の方はミナという少女は火力はルミリナには劣るが高い。

 エレナの方はそのサポートという形であればこちらに割けることも可能というわけだ。

 

「君も成長したね」


 セナに向かって言うと、彼女は嬉しそうな顔で僕を見ながら攻撃を続ける。

 あともう少し、耐えれば彼女はタイムリミットだ。

 あと30秒、それまで凌げば僕の勝利は確定する。

 

「防御で精一杯!?」


 残り10秒……衰える気配が全くない。

 流石にリックもきつくなってきたのか、彼女を蹴って後ろに吹き飛ばす。

 これで終わりのはずだった。

 

「へぇ、マジか」


 魔力を纏った彼女がそのまま何事もなく立ち上がる。

 1分たったのだが、魔力が切れるどころか魔力の練りが増しているように感じた。


「あぁ、そういう事」


 魔力を貯め込む魔道具を彼女が作れるなんて驚きだった。

 恐らく ミナやエレナ《彼女達》と共同で作り出したものだろう。

 

「今日は勝つ! 勝って私は……!」


 彼は手を掲げる。


「来い、我が剣レティシア」


 アリエの時に現れた翠の剣が彼の前に現れる。

 彼女に精霊剣を向ける。


「君の闘志は素晴らしい、だから僕も本気で行かせてもらうよ……


 そういうと、彼の剣の周りに風を纏う。

 そして、彼の剣の刃の部分が消えてなくなる。

 

「さて、始めようか」

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