戦力差

 戦力差というかなんというか……。

 一度見ただけで真似されるだけでなく、その上位互換なので対処しようがない。


「こいよ」


 どうするべきか……。

 恐らく彼のスタイルは変幻自在、数々の見てきた構えを持っているだろう。

 そして、彼に見せた構えはしばらくすると彼も習得するようだ。

 いわば 完全複写パーフェクトコピー

 見せた技や構えは全て彼の中に組み込まれ、彼特有の構えに変わるのだ。

 それに加え、サウルよりも身体能力・魔法技術においても上となるので太刀打ちが出来ない。

 

「来ないのなら、こちらから行く」


 こちらに歩み寄ってくる。

 

雷短剣いかづちのやいば!」

 

 雷の短剣が5つ出てくる。

 この半年でこのくらいは扱えるようになった。

 そのうち2本を両手に持つ。

 両手に短剣で空中に三本、ルラの戦法に改良を加えた魔法だ。

 戦法を変えたことでテイルの顔つきが変わる。


「次々、構えを持っているな」

 

 この戦法は多種多様、どれだけ複写しようとも戦況によって大きく変わる。

 テイルは能力を知ろうと様子を伺っている。

 周りはセシアと僕以外は戦闘が終わっているようだった。

 テイルは腰に持っていた手甲をはめる。

 

「さて、その戦い方……見せてもらおうか」


 右手の剣を前に出す。

 雷の攻撃がテイルを襲う。

 魔道具なのか、彼は左手で魔法障壁をはりそのまま突っ込んでくる。

 突進、そう思うほどに速かった。



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