目的の人物

 その言葉に目を大きく開かせ、必死の形相で僕に掴みかかる。


「彼は、生きてるの!?」

「痛いです……」


 僕の言葉に我に帰ったのか腕を離す。


「すまない、彼は生きているのだろうか?」

「少なくとも、僕がみたティオレさんは生きていました」

「そっか……」


 オリアナは胸を撫で下ろし、安堵の表情を浮かべる。

 彼のことが心配だったのだろう。


「彼とはどこで?」

「僕達の国です……でも、数日も前なので……」


 もしかしたら王国にはいないかもしれない……。


「まぁ、あいつ浮浪者だもんね〜……仕方ないか……じゃあ、私は行くけどあんまり暴れないように!」

「すみません!」

「あと、ティオレに会ったら言っておいて……いい加減迎えに来いって……」

「わかりました」


 オリアナは去っていく。

 ティオレ・フェリオ……確か、父ウオラの知り合いだって言ってたな……帰ってみたら会えないか聞いてみるか……。


「オットー、ここで聞いた事は……」

「あぁ、わかってる」


 ティオレにも何か考えがあるのだろう。

 彼の言い分を聞かずに一方的に悪だと決めつけるのは違う。

 まぁ、ルナをどうするかはその後だ……。


「告白の件、どうしますか?」

「……また出直すことにするよ」


 このヘタレめ……。


「ヘタレ?」


 しまった声に出てしまっていた。

 この世界にはヘタレという言葉はないらしい。


「頑張れって意味です」

「そっか、ありがとう」


 僕達は戻り、次の日まで眠りに落ちた。










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