118話 セシアの逆鱗

「もう良いじゃん、棄権しなよ……このままじゃ怪我するからさ、可愛い顔してるんだから傷つきたく無いでしょ?」


 鼻で笑うようにそして蔑み、馬鹿にしたような顔でセシアを見る。


 あーあ、言っちゃった……。

 馬鹿にするなら相手を選ぶべきだよ。


 当然セシアはその言葉に怒る。


「おかしなことを言うのね、もう勝ったつもり? この程度の魔法で?」


 あの状況で煽り返すセシア。

 男はムッとした顔でセシアを見る。


「可愛げのない……嫁の貰い手がないぞ、なんなら僕が貰ってやろうか?」


 楽しげな顔をした男にセシアは笑顔で、


「要らないわよ、あんたみたいなしょうもない奴……そうね、私に勝てたら考えてあげなくもないわ……まぁ無理でしょうけど」


 セシアがそう言うと、相手は再び魔法を放つ。


「対処も何もできないお前に何ができるってんだ! お望み通り、その傲慢な態度をへし折ってやる!」


 再び魔法を放つが、セシアは先程のように動かない。

 両手を前に出す。


「避ける気も無くなったか!」

「いいえ、必要ないわ」

 

 そう言うと、彼女の両手から炎の球が現れる。


「その程度の魔法でどうするってんだ!」

「………」


 彼女の炎が大きくなり、風の球とぶつかる。

 しかし、彼女の火球は風球を吸収するかの如く大きくなっていく。

 風球は押し切れないのか、その場で霧散して消える。


「ば、馬鹿な!」


 風球を複数放つが、セシアの火の球に当たっても消えていくだけ。


「なら、これならどうだ! 風巻かざまき!」


 風の渦がセシアを襲う。


「………炎火砲フレイガン


 その言葉と共に勢いよく魔法が放たれる。

 風の渦ごと男を襲う。

 男は魔壁を張るが、そのまま巻き込まれて後ろの壁と火球に挟まれる。

 男はそのまま焼け焦げ、その場に倒れ伏した。


「勝者、セシア!」


 そういうと、ウチの学院だけでなく、フィオレスの女学生からも歓喜の声が上がったのだった。




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