119話 魔法戦第二部は進む

 そして、試合は進み残るはウェルサの試合だけになった。


「これ、見る必要ある?」


 セシアは心底どうでも良いと言った感じで素気なく言う。

 

「お兄さんの試合なのに見ないの?」

「ウェルサ《あれ》を兄だなんて思ったことないって言ってるじゃない」

「それでも、実力を伸ばしているのなら一度見てみるのも良いんじゃない?」


 ミリスの言葉に渋々と言った感じでその場に留まり、試合が開始される。

 相手はフィオレス二法生五席だ、前のウェルサでは勝てる可能性は皆無に等しい。


「早く来いよ、面倒だし」

 

 見下したように言うウェルサに苛立ちを覚える少女。

 

「落ちこぼれ風情が、妹に負けて悔しくないのかな?」


 そういうと、ウェルサは眉を寄せるが、


「ふん、あんなのたまたまなっただけさ、本来僕の方が強いよ?」 


 そう言うと、少女は構える。

 ウェルサはと言うと一向に構える気配がない。


「では、始めて!」


 そう言われて尚構える気配がない。


!」


 ウェルサに向かって魔法が素早く飛んでくる。


「ふん」


 構えることなく、魔法はウェルサからそれていく。

 ウェルサの前で魔法が消える。

 高速で魔壁を張ったのか?


「どうなって!?」


 驚く彼女に無理もない、普通魔壁をするにしても手を前にして構えるのが普通だ。

 しかしウェルサは構えずそのまま瞬時に魔法障壁を張って彼女の濃密な攻撃を受け止めたのだ。

 

「ふん、この程度か……はぁ……」


 少し息を乱していた。

 何もしていないのにだ。


「終わりだ、それ!」


 瞬間、少女を中心に炎の渦が現れる。


「これって!?」


 この魔法は上級魔法、炎渦エンカ……相手を中心とした炎の渦を発生させる魔法。

 少女は声を上げる間もなく炎に引き込まれていく。

 その場で少女は倒れ伏し、ウェルサの勝利がきまった。


















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