116話 格闘戦の予選を終えて……

「オット〜く〜ん! うわあぁぁぁあ!」


 コロナが大きく叫びながら、眠ったままのオットーを見ている。


「いや、死んでないから!」


 セシアがそう突っ込むのも無理はない。

 まるで死人が出たかのように泣き叫んでいるのだ。


「だって〜!」


 はぁ〜、オットーも苦労するな……。


 その間も目に涙を浮かべてオットーが目を覚ますのを見ていた。


 これって……両想いなんじゃね?


 だとするなら、オットーが告白すれば成功するはずだ。

 そう思っていると、オットーが目を覚ます。


「あぁ……オットー君……」


 嬉しそうな顔でオットーを見て抱きしめるコロナ。


「え、えぇ!?」


 状況が読み込めず、あたふたしている。


「よかった〜!」

「ちょ、コロナ近い!」


 そう言うと、コロナはオットーの方を見て「?」みたいな顔をする。


「どうしたの、もしかして……撃ちどころ悪かって死にかけてたとか!?」


 オットーの顔が真っ青になる。


「心なしか、吐きそう……」

「「「いやいや、気の所為だから」」」


 僕も含め全員がそう突っ込んだ。


「え、じゃあなんでコロナこんなに深刻そうなの?」

 

 僕とセシア、ミリスはそれぞれの顔を見ると、オットーの方を見る。

 両肩を上げ、「さぁ?」っと言うとコロナの方を見る。


「わかんないけど、悲しみが溢れてきて……グスッ……」

「はぁ〜」


 オットーは深い溜息をつくと、コロナの頭を撫でる。


「心配かけてすまなかった……」

「全くだよ……」


 なんか、この空間……完全に僕ら除外されて2人の世界に入ってね?

 

 これで付き合ってないと言うんだから、おかしな話である。

 そうして、僕達はお邪魔だと言った感じでミリスに連れ出されるのだった。








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