77話 高め合い

「皆はどの試験受けるの?」


 セシアがそう問いかける。

 僕は陰、レアとミリスは水、オットーとコロナは火でセシアは聖魔法だった。


「皆バラバラか〜課題はそれぞれどんなものなの?」


 聞くところによれば他の生徒とは違い、僕達称号つきには一段階上の課題が課される……ちなみに僕は中級魔法の黒煙である。


「私は聖魔法中級のヒーリング」

「私達は水砲ウォーターガン

「俺達は火鳥だ」


 課題は概ね予想通り皆中級魔法だった。


「火鳥ってセシア使えるよね?」

「えぇ、」


 魔法を展開する。


「火よ、我に力を貸せ……火鳥」


 朝のよりデカい火の鳥が現れる。


「今朝のより大きくない?」

「そりゃそうよ、あんな所でこんなの出せないわ」


 それにしたって大きすぎる。

 普通火鳥は機動メインで相手を翻弄するのが一般的である。

 彼女の火鳥はまるで不死鳥フェニックスを想像させるような感じだ。


「凄い……」

「さぁ、やってみて」

「「火よ、我に力を貸せ……火鳥」」


 オットーは小さいが火鳥が出来ていたが、コロナは火が収束した所で消えていた。


「うぅ……」


 涙目で言う彼女をみてセシアは、


「多分、イメージの問題だと思う……ちょっと待ってて」


 セシアはカバンの中から本を取り出す。


「取り敢えず、これを見てイメージをつけましょう」


 本を開き、コロナに見せる。


「他に課題に困ってる人いる?」


 誰も手を上げない。

 すると、コロナは再び落ち込む。


「私だけ……」

「大丈夫よ、私がいるもの…誰一人として落ちるなんて許さないわ」

「あはは……」


 セシアが笑顔でコロナの方を見て言うと、コロナの顔が引き攣る。


「それじゃあ、それぞれ励むわよ!」

 

 そう言うと、それぞれ訓練に励む。


 僕は黒煙の魔法を練習する。


「……黒煙」


 身体から煙を発して広がっていく。

 この魔法は長引けば長引くほど視界を奪う魔法で、生き残ることに特化した魔法だ。

 身体から煙が広がり視界が悪くなる。

 そこから風魔法を放ち、煙を消す。


「………ふぅ」


 これは実戦では使えそうになさそう……。

 適性が高いけど、自分の視界も覆うので逃げてる時にのみ使うのは良いかもしれない。

 他の皆は……。

 

「ほら、イメージが甘い!」

「は、はい!」


 セシアの教え方がうまいのか、彼女のセンスかはわからないが火鳥の形を少しずつ形成し始めていた。


 レアとミリスはお互いの水砲を撃ち合って遊んでいる。

 レアの水砲は大きい水を渦にして放っているが、ミリスは指に収束させ大きい球で放っている。

 互いにぶつけ合い威力を確認している。

 皆、これなら試験大丈夫そうだな……。

 そう思いながら再び自分の課題に取り組んだ。





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