23話 ルラVSミリー

 次はルラVSミリーの対決だ。


「さぁて、何戦にする?」

「決まってます。 なんでも有りの戦いです」

「ふ~ん」


 そう言うとミリーは構える。

 構えはウオラと同じ構えだが清流の構えに近かった。

 

「さぁ来なさい」


 ルラも構え、様子をうかがう。 

 どうしようかと考えているであろうルラ。

 軽々しくいけば槍は特にリーチが長いため剣より負荷がかかり、立て直すのにロスがかかる。

 なので彼女も慎重になっているのだろう。

 ミリーも警戒しているのか開始より距離を取っている。


「展開」


 ルラは魔法を展開する。

 それと同時にミリーも魔法を展開する。 

 二人とも写影を発動する。

 

「行きます! 展開!」

 

 ルラは魔法を再び展開し、


雷短剣いかずちのやいばよ」


 そう言うと二つの雷の短剣が姿を現す。


「ふむ、雷短剣」


 そう言うと同じく二つの短剣が姿を現す。


「本気で来てください」


 ルラはミリーに向かってそう言う。


「う~ん、子供相手に本気ってのもなぁ~」

「………そうですか……」


 そう言うとルラの後ろにある短剣はミリーに向かって飛んでいく。

 それと同時にミリーの短剣もその剣に向かって飛んでいく。

 雷の剣は互いにぶつかり合うとバチバチっと大きな音を立てて消えていく。

 直ぐに次の短剣が生成して放たれる。

 それを繰り返していると、ミリーが笑顔でルラを見る。

 

「うん。 最限度は悪くないわ。 それじゃあ……」


 そう言うと先ほどまで二本だった短剣は、三本になって放たれる。

 

「くっ!」


 ルラも対抗して三本放つ。

 しかし、先程のように射出したが、ミリーの雷の短剣に貫かれ、ルラの方に向かって行く。

 ルラは次の剣を生成し、放つ。

 先程ので弱っていたのか、剣は当たり貫く。

 しかし、ミリーの次の剣が再び貫く。

 そしてまたルラは生成するが、今度は同時に消え去る。

 ルラは徐々に押し切られていく。

 

魔璧まへきよ」


 魔法の障壁が目の前に現れる。

 防戦一方になるルラ。

 魔法障壁を発動しながら短剣を生成しようとするが、上手くできないのか、雷の短剣が姿を現さなくなる。

 一方ミリーはそのまま短剣を生成して放っている。

 時間の問題だ……。

 ミリーは攻撃する一方、ルラは防戦一方なのだから。

 ルラの敗北は確実だった。

 ルラもそれをわかっているのか魔法障壁を盾にミリーに突進していく。

 幸い、短剣に障壁は砕かれないのでそのままタックルしようとする。

 ミリーの間合いに入り、もう少しというところで、

 魔法が展開される。

 先程サウルが使った地雷魔法だ。

 鎖にルラが拘束され、魔法の壁が解けると同時に雷の短剣の射出がやむ。

 

「私の勝ちね。」

 

 ルラに向かってVっと指を突き立てる。

 ルラは悔しそうにミリーを見つめている。

 そんなルラを見てミリーは、


「残念でした。 悪くなかったけど、最後のはちょっと軽率かな……」

「はい……」

「それに途中、周りを見てなかったでしょ? 悪い癖よ」


 そう言って魔法を解除するとあちこちにパリンという音が聞こえる。

 

 トラップ、あんなにあったのか……。


 流石元冒険者。

 始まる前から勝敗は決していたのだ。


「ズルい!」

「ズルくないわよ。 ちゃんとした戦略だもの」


 ブーブーっとむくれながら抗議するルラを他所にミリーはサウル達を見る。


「お待たせ、次はどうする?」


 そう言うとウオラが、


「今日はもう実践訓練は終わりにしようか」

「あら、たった一戦で終わり?」

「まぁ、たまにはいいじゃないか」

「そうね、今日はオフにしましょうか」

「そう言えば、今日は祭りがあったな」

「あ、そうだった!」

 

 ウオラのそう言われ、思い出すリラ。

 リラはサウルに駆け寄る。


「この後、三人一緒に祭りに行くわよ!」

「え、でも……」

「何よ、いやなの?」

「いいじゃないかサウル。 行って来い」

「……わかりました」

「それじゃあ、準備が出来たら迎えに行くわ!」


 ふつう逆じゃないのか?っと思ったが、リラがそれでいいなら何も言うことはない。

 

「それじゃあね」


 サウル達は互いに別れ、お祭りに向けて準備するのだった。


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