22話 月日は流れ、四年後……

 剣と魔法訓練から何事もなく、月日が流れ4年が経った。

 僕らは10歳になり、魔法も扱えるようになった。


「今日も訓練始めるぞ!」


 ウオラが僕とリラ、ルラにそう言うと僕達は頷き、


「今日は負けないぞ!」

「あら、勝てると思ってるの?」


 僕が勢いよくそう言うと、リラはまるで負けることはないという感じで、僕を見ている。


「今日は実戦訓練の魔法有りの戦闘訓練だ」

 

 リラは面倒くさそうで嫌そうな顔をした。


 よし! これならリラに勝てる!


 剣術戦ならいざ知らず魔法戦も有りとなればこちらが有利だ。

 

「ルラちゃんは今日はミリーが相手だ」

「よろしくね。 ルラちゃん」


 ウオラがそう言うとミリーはルラと同じく槍を模した木の棒を持ってルラの前に現れる。

 

「負けません……」


 胸に手を当てながらミリーを上目遣いで見つめる。

 その瞳には穏やかながらも滾る闘志が滲み出ている。

 僕は訓練相手であるリラ見向き合う。


「それじゃあ最初はサウルとリラだ。」


 ルラは端の方へ行きミリーは魔法を展開する。 魔法障壁だ。

 魔法戦ともなると辺りに被害が出るため、障壁結界をつける。


「それじゃあ、始め!」


 ウオラがそう言うと僕とリラは魔力を流す。


「「写影うつしよ」」

 

 これをすることで一度だけ死にそうでも生き残ることができる。

 いわば残基だ。

 けれど痛みはあるので実践形式の訓練で使う場合が多い。

 僕達は互いに魔法を発動すると構える。


「行くわよ!」


 リラが突っ込んでくる。

 僕は魔法を展開しながら彼女に剣を振ると、軽く避けられ彼女は間合いを詰めてくる。


「沼よ」


 下に避けた彼女は踏ん張った拍子に地面に足が埋まり踏み込めなくなる。

 

「火よ」


 そう言うと小さな火の玉がリラを襲う。


「空脚」


 埋まっている足元から風が舞い一気に加速してくる。

 速い。僕はギリギリで彼女の剣を受け止めるが後ろに勢いで後ろに吹き飛ばされる。

 そのまま後ろの障壁に衝突する。


「ぐぁ……」


 そのままリラは突っ込んでくる。


稲光いずち


 雷の魔法を放つ。

 

「魔壁!」


 魔法の障壁でこちらに一直線に向かってくる。

 彼女が先程まで僕の場所に足を踏み入れるとトラップが発動する。

 地雷魔法だ。

 拘束魔法地束縛じとばくは、ふんだものを拘束する鎖だ。

 その鎖が、リラを襲う。

 彼女はとっさに逃げようとするが、逃げ切れず拘束される。

 拘束された彼女は魔力を込め、鎖を壊そうとする。

 

「我も求ム雷をもってかの者を無力化せよ。 #雷燕__つばめがえし__#」


 そう言うと燕の様な鳥が3体、姿を現す。

 彼女は鎖を魔力で壊し、まるでバーサーカーの如く、再びこちらに向かってくる。

 僕はリラの攻撃を受けて跳ね返すと、僕は彼女に詰め寄り剣を突き出す。

 見切られていたのか僕は抱き着かれ投げ飛ばされる。

 リラは何かに気づくがもう遅い。

 リラの周りには燕が張った3つの柱が出来ており、中央に向かって繋がっている。


鳥籠とりかご


 そう言うと中に電流が走りリラに襲い掛かる。

 

「―――――!」


 声にもならない叫びをあげその場に倒れる。


「そこまで!」

 

 ウオラが言うと同時にリラの写影が消える。


「………負けちゃったか……」

「今日は勝ちです!」

 

 勝ち誇ったように言う僕と負けて拗ねるリラ。


「それじゃあ次はルラちゃん」

「はい!」


 そう言うと僕とリラの入れ替わりでルラはミリーに向かい合うのだった。

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