第二の人生は異世界で平和に暮らしたい

ゆうき±

1話 人生終了

 目を開けると昔見たプラネタリウムで見るような空の光景が広がっていた。


「陸……」


 声がする方に振り返くと、少女が陸の方を不安そうに見ている。


「蒼……」


 僕が居たのに安堵したのか、こちらに近づいてくる。

 もう一度見渡すが特に何も見当たらず、あるのは無数にある綺麗な星々の小さな光があるだけだ。

 宇宙に放り出されてしまったかのような光景。


「やぁ、お二人とも初めまして」

 

 声が聞こえ振り向く。

 白髪の美人が座った状態でこちらを見ている。

 

「誰ですか?」

「ん? 僕はウルクス、転生を司る神様の一人」

「僕はなんでここにいるんですか?」

「そりゃ死んだからでしょ」


 わりとあっさり言うもんだから一瞬納得しかけてしまう。

 正直、不思議だった。

 危ない場所ではなかったはずだと思う。

 あの日はいつものように彼女が星を見たいといい、蒼と共に学校の屋上に忍び込んだ。

 僕らにとってなんて事のない日常の光景だった。

 蒼が言うたびに毎回陸と共に忍び込んでいたのだ。

 ウルクスは哀れむようにこちらを見ている。


「君達は寝ていたから知らないかもだけど、空から飛行機の羽の一部が落ちてきて即死だったよ」

「そんな偶然あるわけ……」 

「これが本当なんだよね~ほら」


 ウルクスが指を回す。

 目の前に二つの映像が映る。

 1つは飛行機が飛んでいる映像だ。

 もう一つは僕達の覚えている映像。

 飛行機の方を見ると部品か何かが落ちていく。

 映像は飛行機から落ちた物の視点に移り変わる。

 どんどん堕ちていく。

 一方僕らは寝転んで星空を見ている。

 部品は雲を通り過ぎるとよく見た日本の光景が映る。

 地面の建物が鮮明になっていく。

 部品視点から学校が見える。

 部品は一直線に向かっていく。

 僕らはというと、見つめ合い互いの身体を抱きしめている。

 映像は途絶える。

 この後の光景は予想できた。

 ウルクスは配慮してくれたのだ。


「こういうこと」

「運無さすぎだろ」

「あ~うん、これは僕にも予想外だったんだ。ここに飛行機の部品が落ちることも君達にあたることも」

「それってなにか手違いがあったとか?」

「それは今、調査中だし詳しくは言えない」

「僕は君達を不憫に思って提案があります!」


 ウルクスは指を立てて語り掛ける。


「提案?」

「異世界に転生してみる気はないかい? もちろん条件を付けてもらってもいいよ~」

「はい! わかりました!」


 頭が追い付かない僕をよそに先程まで隠れていた蒼が目を輝かせながら即答していた。


「待て待て、どう考えても怪しいだろう?」

「どこが? 異世界転生の鉄板でしょ?」


 蒼は異世界転生物の小説が大好物だったな……。

 陸も読んだことはあるのでなんとなくわかる。


「異世界転生物は僕も知っている。 だけど」


 彼女は僕の手を掴んで微笑みながら、


「私達はもう死んだのよ。 だからもし記憶を持っているなら異世界無双できるかもよ?」


 彼女は身体を震わせながら笑顔でいう。

 それはそうだ、いきなり死んではいそうですかなんて受け入れられる人間なんていない。

 だって僕たちの人生はこれからだってのに死んでしまったのだ。

 これから彼女だってやりたいことはあったはずなのに。


「ねえ、ウルクス……」

「ん?」

「陸とはまた会える?」

「もちろん、それで良ければお安い御用さ」

「なら私は迷うことはないわ……あとは陸だけだけど……」

 

 そう言われたら僕も断れないじゃないか……。


「一つだけ聞く……危険はないんだな?」

「完全にないとは言い切れない。 だから力だけはつけといてほしい……」

「わかった。 じゃあ転生する前に寿命はどうする?」

「普通の人間の生で十分だ……蒼もそれでいいか?」

「私もそれでいいわ」

「転生特典はないのか?」

「そんなものあるわけないじゃないか」

「え~そっちの不手際なのに?」 

「そもそもこっちのお願いじゃないしね、あくまで君達の同意さ……欲張っちゃいけないよ」


 僕達は白い光に包まれる。

 蒼が僕の方を見つめる。

 

「必ず迎えに来てね」

「そもそも同性かもしれないだろ?」


 ウルクスは笑顔で二人を見る。


「大丈夫、ちゃんと男女にしておいてあげるから」

「じゃあ、ちゃんと私を見つけてね」

「やなこった……」


 蒼がむくれて僕に背を向ける。


「あ、蒼?」

「つーん」


 表情を言葉にするなといいたいが、彼女は拗ねている。

 

「わかったよ、必ず見つけてやる」

「約束したからね、私はずっと待ってるからね!」


 蒼がそう言うと陸の視界は光に包まれ見えなくなり、やがて真っ暗になった。







――――――――――――

 

 はじめまして、この小説を読んでいただきありがとうございます。

 その場で書いて投稿しているので誤字多いかもですが、順次直していきますのですみません。

 頑張って完結まで書いていきますのでよろしくお願いします!

 フォローやいいね、レビューしていただけると励みになります。

 感想もお待ちしております♪



 1月6日改変

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