レイプ・セカンドレイプ・逆レイプ

すもももももんが

〇、プライベート・ビーチにて

 熱海には一般人が立ち入ることができないプライベート・ビーチがある。

 熱海の代表的な海水浴場である熱海サンビーチでさえ、全長は約四〇〇メートルほどだ。しかし、その砂浜は約一キロメートルもの長さがあった。

 もしも、ペコちゃん人形をそこに並べたとしたら、約二〇万体は置くことができるだろう。

 瀟洒な洋館が建つ、そのプライベート・ビーチは現代日本を代表する財閥グループ、十三月家の別邸だ。

 本稿はこの邸宅で起きた忌まわしい陵辱事件について語ったものだ。

 二〇一八年一二月二三日、午後九時を回った頃のことだった。満月に照らされた静かな白い渚に、一人の美少年が全裸でうずくまっていた。プライベート・ビーチとはいえ、冬の海は寒かろうに……。ボブカットの栗毛がうつむいたまま、青ざめた体を細い両腕で抱きしめて震えていた。

 美少年の名前は十三月リアムルという。十三月家の次男坊だ。身長が一五〇センチメートルにも満たない華奢な体つきをしている、まだ精通を迎えたばかりの中学一年生だ。

 リアムルは熱い吐息を漏らしながら脂汗を浮かべてしきりに息む。と、見る間に、鶏卵よりは少し大きな、赤黒い卵が肛門からひり出されてきた。

 美少年が経血で濡れた卵を産んでいるのだ。それは三つ出てきた。

 次男坊は長い睫毛をした丸い目をしばたたかせると鼻筋が通った丸顔を上げた。海水で卵を洗うと岩場に置いてあった手編みのバスケットに入れる。それから、同じく岩場にあった毛皮のロングコートに腕を通した。

 リアムルの小さな唇が開いた。

「これで、明日の朝ごはんのおかずが準備できたぞっと」

 彼はそう呟くと砂浜を後にした。

 洋館に向かって点々と続く小さな足跡を、月が優しく照らす。

 明日は平成時代、最後のクリスマス・イブだ。

 ああ、しかし、これこそはまさにあの凄惨な事件の前触れでもあったのだ!

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