転生して有象無象の木になりました。てな訳でデバフとステルス駆使して頑張ります。

@sigure200

第1話

 私の名前は虹宮さゆり。今は大学2年生で、暇な時間とかはラノベを読んだり、ゲームをし足りしてます。ジャンルで言うとファンタジーとか恋愛系が好きかな。

 

 そして、自分で言うのもなんですが実は私、かなりルックスがいいんです。


 え、嘘だって。


 いやいや、ほんとですって。スカウトされた回数は数知れず、告白された回数なんて星の数より多いもの!盛りましたテへ


 とまあ、そんなわけで今は超イケメンの彼氏と付き合ってるんですよ。


 自慢はそのくらいにしておくとして、今日はその彼氏とのデートの日なんです。昨日もデートしたんですけどいいんです。今日も今日とて、私は幸せになりますよー


 「ねえ、今日は何の日か覚えてる?」


 彼氏の愛を試すのは私の日課みたいなものだ。だれだって、自分のことを愛してくれてるって感じると嬉しいよね。


 「ああ、さゆりと付き合ってからちょうど一か月だろ。忘れるわけないじゃないか」


 キュン。


 「さゆりにプレゼントがあるんだ」


 彼氏はきれいな模様の包装紙でくるまれたものを取り出して私に手渡す。


 「開けていい?」


 彼氏は笑ってうなずき私のことをじっと見つめる。その瞳が透き通る褐色で、私の心を溶かした。


 「うわぁ、ネックレスだ。かわいい」


 それは透明なピンク色をしており、先端に小さなダイヤがはめ込まれていた。


 「僕がつけてあげるよ」


 私は彼氏の優しさに身を任せ、そのまま次の段階に行くのだろうと予感した。いうまでもなく、私たちはキスのモーションに入るのでした。


 私は目をつむって、少しだけ唇を差し出して待っていた。いつもはそれで彼氏が察してくれたのだ。しかし、今日は違った。


 「はい?」


 うっすらと目を開けると、そこにイケメンの彼氏の姿はなく、ましてやそこは都会でもなく。ひっそりとした森林が私の周りを取り囲んでいた。


 そして、あることに気づく。


 視野がとんでもなく広い。広いどころか、360度見回せる。そのうえ、果てしなく遠くまで見通すことができる。


視点を自分に戻し、自分の体を確かめる。


 「これってまさか」


 そこには豊満な胸も、ほっそりとした脚も、透き通るような白い肌も無く。


 あったのは豊満な幹と、ほっそりとした枝と、くすんだ茶色の肌だった。


 そう、それは唐突の出来事であった。


 「私、ただの木に転生しちゃったんですけどぉぉぉ」


 

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