拝啓お兄「私達家族は今、最果てへ旅行中なのです!」

未読シー

拝啓


 春


 ぽかぽか陽気の日差しが眠気を誘う。


 そんななかある墓地に一人の少女がやってきた。


 少女は一つの墓の前まで行くと膝をつき、手を合わせ黙祷した。


「拝啓お兄」


 黙祷ではなかった。


 なかったがしっかりと祈るあたり、真面目で喜ばしいことだった。


 ……どうやら毎月欠かさずお祈りをしているらしい。



「お兄、お兄はいかが御過ごしでしょうか….私は元気なのです。いつも典型的でごめんなさい。めんどくさかったのです。

 それはそうと…いまは桜が咲く季節つまり、私の高校入学の季節。


 やっと、魔物達を見れるのです。

 お兄のだいっきらいな魔物達を…

 私の生き生きとした姿を見て、悔しがってくーださーい。


 それでは、行ってくるのです」



 終始この柔らかい春の陽気のようにゆったりとした口調だった彼女は立ち上がり、そして軽く黙祷し墓を後にした。






 幽霊曰く、この光景が生(?)を実感できて、自分達の生きる(?)意味を再び見いださせることのできる唯一の楽しみらしい。



 よく分からないがつまり 『助かる』 ということだろう。






 ここ、地球第一支部は今日も平和。



 ここは、ここだけはこれからも、ずっと平和だ。



 ……そうそう言い忘れていた。

 先程の少女、名前は◆朔夜◆


 後の『すごい人』である。

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