コピーにお茶くみしたかった

まめ

第1話 わたしの話

わたしはオフィスレディだ。所謂OL。

夢の、念願のオフィスレディだ。

コピーして、お茶くみをすることをどれだけ渇望してきたことか。

毎日通勤する職場、社会保険証、自分のデスク、どれも喉から手が出る程わたしが欲しかったものだった。


私はついこの前までしょうもない、やっすい女だった。

どこからそんなことなってしまったのだろうか。高校生の頃からだろうか。スマホを手にしてしまったが故だったのか。

確かに、あの頃の私はコミュニティを必要としていた。

文明の進化とは末恐ろしいもので、知らない誰とでも誰でも話せるようになっている。

そこでまず道を踏み外した私だった。


きっかけは些細な事であった。明確にはっきりと記憶している。

あの頃の私は、バンドが全てであった。

大好きなアーティストに会いたいが為に、死に物狂いで金を抽出する必要があったのだ。


どこで仕入れたのかはもう忘れてしまったが、その当時は出会い系と言われる、俗に言うマッチングアプリのようなもので男の人と会い、お金を貰うという行為。

それを駆使して私はお金を生産していった。

特に高いものが欲しいわけでも、なんでもない。友達に唆された訳でもなく、気付けば当たり前のようにしていた。

何も難しいことはない、JK2とか入力しておけばいいのだ。

そしてチケットを応募して、新幹線に乗れば良いだけだ。

そうすれば大好きなアーティストに会えるのだ。

そんなことをSNSに発信する毎日。ネットの友達はたくさんできた。そして当然の如く、学校に友達は居なかった。

朝教室に着いたら、真っ先にベランダに行き、休憩時間はトイレで自撮り。

これでもその当時は結構楽しく生きてたのだ。いいねが来れば。みんな可愛いって言ってくれたし。

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