第五話「嘘と本音」

「…っ痛い!」

誰もこの5年間を諦められなかった。

お互い16歳から21歳になった瞬間、急にミラの心と体がボロボロになってしまった。

どんなに自分の心が痛くても、どんなに自分の体が疲れてても、それでも深く愛してる彼を救うために、ちゃんとした花びらの占い師として仕事を続けてきている。

正直、自分の心が焼けるように痛い。

自分の体もボロボロになってきた。

もう何度もコウを諦めたいと思ってしまう程、たくさん泣いてきた。

だけど、これは全て幻覚だ。これは思い込みなんだって。


ずっと辛くて、悲しくて、寂しい夜を過ごしてきたけど、明日も元気な姿を見せられるように、一日一日を大切にして過ごしていこう。

深く愛してる彼を救えるのは花びらの占い師であるこの私だけだから。


これが例え、どんなに辛くて悲しい結末でも、私たちの愛はずっと深く熱く続けていける。


深く愛してる彼の命を救う代償は自分の寿命がだんだん減っていく事だ。

どんなに腕がすごい占い師でも、自分がいつ死ぬのか分からないのだ。

神様が与えてくれた特殊な霊能力は、一番危険でもあって、特別なパワーだ。

だけど、その霊能力を使いすぎると、知らない誰かに引きずられて、自分自身の魂が本当の地獄に堕ちて、そのまま死ぬ事すら許せない恐ろしい経験をしてしまう。


これが代償なの?なんで私だけなの?


「なんで?私とコウの関係がだめだから?」

「ミラ様、大丈夫ですか?」

「ミラ様、あまり無理しないでくださいね?」

この子たちは、二卵性で双子の姉妹だ。

ミラが占いの時に助手として務めている。とても頼もしい二人だ。

二人とも茶髪で、瞳の色はきれいな琥珀色だ。


「ミラ様、ちゃんとご飯も食べてくださいね!ちゃんと食べて、占いして、寝て、コウ様にも心配をかけたら、私たちも不安になりますから!

どんなに不安でも、怖くても、私たちがついてますからね!」

上の子の名前は「帆乃(ほの)」だ。双子の姉の方だ。

長くてサラサラとした茶髪で、三つ編みにお団子をしてる。

ミラの占いでお手伝いしてる時の服装は、白い花柄の刺繍が縫ってあるレースの上着で、薄らと太ももが見えるヒラヒラとした真っ白なスカートだ。


帆乃には、きれいな琥珀色の瞳を持っていて、普段からお団子の上に、おしゃれな赤いビーズを付けてる。

この子の目は少しキリッとしてるけど、人柄が良くて、性格は強がりで、優しいけど、ちょっとおばけには怖くなるのが可愛らしい所だ。

帆乃の声は、優しいけど、少し高めで、騒いでると、うるさく聞こえてしまう。

本音は、誰かに構って欲しいという思いだ。

本当の姿は、誰にも優しくて、ツンデレだけど、寂しがり屋だ。


だけど、双子の妹の乃愛との子守唄タイムはとても人気で、街中の噂になるくらいだ。

二人ともミラが経営してる花びらと魔法の占いができるお店では、ムードメーカーとして活躍している。


そして、もう一人は、下の子の「乃愛(のあ)」だ。双子の妹でもある。

ちょっとクルクルとした茶髪で、おさげで、三つ編みしてる。

ミラの占いでお手伝いしてる時の服装は、ベージュ色の花柄の刺繍が縫ってあるレースの上着で、薄らと太ももが見えるヒラヒラとした真っ白なスカートだ。


乃愛にも、きれいな琥珀色の瞳を持っていて、普段からおざけに、三つ編みの上に、おしゃれな水色のビーズを付けてる。

この子の目はクルクルと丸くて、人柄が良くて、性格は少し弱そうだけど、すごく優しい子だ。


「ミラ様、少し疲れてる様ですね。昨日もちゃんと休めなかったんですか?」

乃愛の声は、まるで子守唄の様に優しくて、透き通った声を持つ。

ちょっとおばけには怖くなるのが可愛らしい所だ。

本当の姿は、誰にも優しくて、泣き虫で、寂しがり屋だ。

二人ともミラのために、コウのために、お客様のために、元気に働いてくれるのがすごくありがたい事だ。


「いつもの事だから、もう慣れてるよ?」

「ミラ様!」

「外に行きましょう!」

「でも、コウが…」

「大丈夫ですよ!コウ様はミラ様の呪文によって、ちゃんと守られてますから!」

「そうだね」

「少し息抜きする事も必要ですよ!」

「帆乃、乃愛、ありがとう。ずっと迷惑かけてごめんね」

「ミラ様は私たち姉妹の命を救ってくれたんですから、これくらいお礼させてください!」

「ミラ様も外に行きましょう!」

「外の景色がとても彩りで、更に素敵な街になってきましたよ!」

「ミラ様!早くー!」

「ミラ様!黒いマントを着てから出てきてくださいね!」

「うん!」

久しぶりに自分の経営してる花びらと魔法の占いができるお店から出かける。

外の景色はとても彩りで、素敵な景色が見えた。

「もう外はクリスマスの季節になってたんだ」

「そうですよ!」

「ミラ様!すごく大きいクリスマスツリーですよ!」

「ミラ様!真っ白な雪の結晶が浮かび上がるある不思議な丸い鏡がありますよ!」

「これ、すごく素敵な商品ですね!」

「ミラ様!お久しぶりです!」

「久しぶり。これ、いくらかしら?」

「これですか?1000円ですよ!

ちゃんとした手作りですし、不思議なパワーを持つ人間が作られた商品です!

この丸い鏡は大切な人と会話ができる事で、とても人気商品なんです!」

「どうですか?」

「これ、買います!」

「ありがとうございます!ミラ様にも幸せが訪れますように!メリークリスマス!」

「メリークリスマス!」

「メリークリスマス!」

「ミラ様!頑張ってくださいね!私たちみんな、応援してますから!

あまり無理しないでください!たまには私たち姉妹を頼ってくださいね!」

「そうですよ!ミラ様!」

「二人ともありがとう!少し元気になれた気がする!」

ようやく自分が笑顔になれた。何年ぶりだろう?

「これで、またコウのために頑張れるよね?」

ミラにとって、一人で涙を流しながら、外で見る彩りの街のが眩しくて、キラキラしてて、とてもきれいだ。

自分の心がだんだん白く染まっていく。

白い息を吐きながら、歩いていく姿を見せたい。

だけど、私にはもう残り時間がないかもしれない。


「本当は…もうだめなんだよね?」

「ミラ。あまり無理するなよ?」

知らない誰かに頭を撫でられる気がした。

ミラの頭を暖かい手で優しく撫でる仕草はまるで婚約者のコウの様だ。

それがミラにとって何よりも嬉しかった。

例え、それが幻覚でもいい。

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