第五章 目覚めし最強エルフさん
第44話
「……村人は無事なのか?」
「安心しろ、下手に手を出すと外の連中に文句を言われるからな。ちゃんと生かしてるわ」
「と言うか街の人間を村人呼ばわりはやめてあげた方がいいぞ?」
余計なお世話なインテリ風を無視して気絶した人間に近づき安否確認をする。
怪しい2人組に気絶させられた街の住人たちは本当に気絶しているだけで息はあるようだ。
どうやら本当に自分たちがこの街を人間たちを殺すつもりはないようである、ならば俺が取る方法はただ一つ。
「おさらばだ!」
「「にっ逃げた!?」」
この異世界物ではおそらくは主人公格の俺がこんなところで捕まってたまるか!
俺は短い足を必死に動かして全力で逃げることにした。
「すまないが逃さないぞ、人目のいない所に場所を移させてもらう……テレポート!」
インテリ風が再び余計な真似をしやがった一瞬視界が暗転したかと思うとフレッゾの街にいたはずの 俺たちはいつの間にやら荒野のど真ん中にいた。
「荒野だと……ふざけんなよ、そこのインテリ風が。テレポートとかそこそこ強いやつが使う魔法だろうが、お前みたいな三下のザコがポンポンが使っていい代物じゃねぇんだよ!」
「ひっひど!」
「コイツ、本性出してきたら全く暴言に躊躇がなくなってきたな…」
「俺は出来るだけあるがままに生きると決めた偉大なるエルフ様だ、オラッ三下! さっさと俺をフレッゾの街に戻せや!」
「君は一体どういう教育を受けて育ってきたんだ ! なんでそんなひどいことは人に言えるんだ」
「アピオ落ち着け、もうこのクソガキとお前は話すな、アタシが話をす…」
「すまないが頭の悪さで言えばお前んとこのとんがり帽子も相当なもんだと思うぞ、バカと話すとバカが移る、正直言って俺はそっちのバカとあんまり話をしたくはないんだぜ、だからさっさと俺はフレッゾの街に返せこのろくでなし共、それとお前らがリザードマンを手引きしたことは調べついてんだよさっさとお縄につけやこの社会のゴミ共がぁあーーーー!」
周りに人がいなくなったので俺は躊躇なく暴言を吐きまくった。
インテリ風はすごく心にダメージを受けたような顔をしてとんがり帽子はめっちゃブチ切れたような顔をしていた。
「……もっもういい……優しさなんて必要ねえな。お前みたいなヤツはすこし魔法で脅してやるだけのつもりだったがもう知らん、問答無用で知ってること全部吐いてもらうし1回半殺しにしてやる!」
「リカラ、お前まさか……」
「ハァアアアアアアアアアアアアッ!」
リカラとかいうとんがり帽子が気合の入った声を上げた、やつの全身から紫色のオーラ的なものが立ち上る。
そしてやつはかぶっていたとんがり帽子と背中のマントを取った、ちょっそれお前のトレードマーク、なくなったら俺は内心でお前をとんがり帽子と呼べないじゃないか!
ちなみにそれらをインテリ風が生真面目にキャッチする、再びリカラに視線を戻した時、とんがり帽子…いやリカラの姿が変貌していた。
今までのやつは黒髪に青い瞳(から赤になった)、肌は色白の普通に美少女と呼ばれる部類に入るくらい整った顔立ちをしていた、魔族だなんだと言っていたが見た目は普通の人間だった。
それが今では髪は濃い紫色、瞳は赤色、そして肌の色は薄紫色をしていた、女子背中にはコウモリに似た羽を生やしお尻には黒いシッポが生えていた。そして頭の左右には2本の角が生えている。
更に服装も変化してる、やたらと露出度を上げた黒のボディスーツとヒールブーツ、何となくファンタジーマンガならサキュバスとかをイメージする見た目になっていた。
完全なる人外娘の爆誕である、よくこんなやつがあんな完全な人間の姿になってたもんだな。
多分だが魔法なのかな、何というか…ファンタジーってやつはやっぱりとんでもないな。
それはそれとしてとりあえずカマをかけてみるか。
「その姿、やっぱりお前ら魔族か」
「やっぱりってことはそこまで調べはついていたってことか、やっぱりお前危険だね」
リカラが片手をこちらに向けてきた、するとやつの周囲に紫色の火球がいくつも出現する。
「アメジアスフレア!」
リカラの言葉に答える様に紫色の火球が俺に向かって飛んできた。
「ゴーレムクリエイト!」
俺の前に大きな壁のプレーンゴーレムが出現する。 紫色の気球がいくつも直撃し凄まじい爆音が聞こえるが俺のゴーレムが破壊されることはなかった。
「リカラの爆炎魔法を防ぐとは大した防御魔法だな」
「防御魔法じゃなくてあれはゴーレム錬成の魔法か何かだ、確かに大したもんだがゴーレムなんて何体も同時に生み出せるような代物じゃない」
確かに世間一般ではそうなのだがな。俺はゴーレムをいくら生み出しても何も問題ない感じなんですけど。
正直言って現状3つの問題が同時に発生して非常に困っている俺だ。
しかし落ち着け俺、こういう時こそ冷静にだ。まずはどれから対処すべきかを考えよう。
「まずはここだな…ゴーレムクリエイト」
今度はリザードマンゴーレムを3体クリエイトした、そいつらをリカラとアピオの2人にけしかけて 俺は一旦距離を取る。
「おいっ! 更にゴーレムを生み出してきたぞ!」
「俺にキレられても……やはりエルフ、人間とは魔力の桁が違うな。 油断するなよリカラ」
「当然ね、 だがこの姿になった以上、負ける気はしないわ、ゴーレムなんてぶっ飛ばしてやる!」
あのリカラというやつは本当に好戦的なヤツだな、にしてもゴーレムなんか無視して俺の方を攻撃してくればいいと思うのにわざわざ…。
だがまあリザードマンゴーレムたちは立ちはだかって仕事してるならいいか、よし今のうちに次の行動だ。
状況からしてリザードマン軍団の方。フレッゾの人間が対処する無理があるだろう、一番に状況が読めない向こうの方の状況をゴーレムを使って把握する。
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