第29話
「馬鹿なスライムが喋っただと!?」
ミロットがめっちゃ驚いている、当たり前だ、俺だって驚いている。
異世界物のライトノベルとかだとわりとしゃべる スライムは出てくる、その上で結構強かったりする が。
じゃあこの世界でしゃべるスライムはと言うと聞いたことがない、果たしてこの喋るスライムは強いスライムなのか、それともただしゃべるだけで強くもなんともない雑魚スライムなのか。
全ては謎だ。謎なので聞いてみることにしよう。
ついでに宝箱からは出てもらう。
「オイッこのスライム、何を勝手に俺が手に入れたお宝を中に隠れ住んでんだよ。出てけ」
「このランプは長年ボクが住んでいた家なんだぞ出ていくわけないだろ!」
「いっ家だと~?」
スライムの分際で持ち家があると申すか!
俺なんて前世も含めて持ち家なんて夢のまた夢だったってのに!
「その通り、僕はランプスライム。このランプに住むスライムでありただのスライムではなくハーフエレメント、半分精霊のスライムなのさ!」
このスライム、自分が精霊だとか抜かしやがった。随分と厚かましい自己紹介だな経歴詐称かなんかじゃねえのか?
俺はこのスライムは嘘つき野郎ではないかと疑った。訝しげに睨むとスライムはプルプル震えながらさらに言葉を続ける。
「その僕を全く信用していない目。とても失礼だよ、僕だって色々と事情があって生きてたりするんだ。スライムは嘘をつかないんだ」
「嘘をつかないと言われてもな……お前のどこに精霊要素があるんだよ、ランプからはみ出てるただのスライムじゃねえか」
「スライムなのはその通りだけど、ただのスライムだったら長年ランプを中に住んでいたらお腹が空いて死んでしまうものでしょ? しかし僕は死んでいない、なぜなら僕は半分精霊だからものを食べなくても死ないからだよ」
「………成る程、確かにそれは一理ある」
「そんなもんなのか? ミロットにそう言われるとな…」
そんな説明をされると反論出来ねぇ。だって俺は現実にスライムも精霊も会ったことがないからな。
あのバイラスって化け物お猿が湖にいつ頃から住み着いてるのかは知らないが、少なくともフレッゾの街ができた頃からバイラスは湖の主としてフレッゾの人間たちに認識されていたらしい。
そうミロットに依頼を受ける時に聞いた。それより前からあの神殿がありその奥の宝箱の中にこいつがいたとすれば確かにただのスライムではないということなのだろう。
「まあお前がただのスライムじゃないって言うのは認めるよ、それでお前はなんだ? ってかなんで宝箱の中にいたんだよ、そもそも何で神殿の奥にお前はいたんだよ」
「それはね…僕が精霊としてあまりにも多くのことを知っているスライムだからだよ、あの神殿を作り上げた太古の人類は僕を封印し誰の目にも届かない 湖の底の神殿に隠したんだ」
「………隠した?」
「そうっ僕はね、この世界のこの時代の人間たちが ほとんど知らないような未開の地にある遺跡やダンジョンへの行き方も存在する場所もその全てを知る存在なんだ。それゆえに僕の叡智を悪用しようなんて輩が昔からいたのさ~~」
「………ふぅ~~~ん」
こいつと喋ってると胡散臭い詐欺師と喋ってるような気分になんだよな。
言うことがいちいち鼻につく上にムカつく、思いっきりむぎゅってしてやりたいわ。
なんかムカつくので暴言を吐くことにした。
「脳みそもなさそうなスライムが叡智だとかよく吠えれるもんだな」
「スライムを侮辱するような発言はやめてもらおうか、それに僕はただのスライムじゃないぞ!」
「見た目は完全にただのスライムだからな、青くてプルプルしてるし」
「そこはスライムのチャームポイントだよ!」
厚かましい物言いに歯止めかからないランプスライム。そういや名前とかってあるんだろうか、自己紹介でもしてみるか。
「おいランプスライム、俺の名前はラディア、お前も名前があるのなら名乗れ、ないならこれからはランプって呼ぶぞ」
「ランプはやだよ。僕に名前なんてないね。それならもうちょっといい呼び名をつけてよ 」
俺に呼び名をつけろだ?
「ちょっと待ってろ……よしっそれじゃあランプスライムからとってのお前はプライムだ」
シンプルに名前から取った。俺にネーミングセンスなんてない。そんな俺にそんな頼みをしてきたこいつが悪いのだ。
「プライムね、僕は悪くないと思うよ 」
そうか思いのほか好評だな。それならそれでいい や、適当につけたので内心少し申し訳ない気分だけどな。
「それじゃあプライム、お前は封印されていたわけで、俺たちはそれを解放してやったわけなんだがら何か俺たちにお礼の一つでもあったりするのか?」
「うーんそうだねぇ …」
「ないならないで別に構わねえよ、お前を引っ込ませてそのランプをできるだけ高値で売るだけだからな」
「それはちょっと待ってくれないかな!?」
「ラディアは本当に相手が誰でも遠慮をしないな、敬語で猫をかぶっていた時が懐かしいよ」
そんな失礼なことをミロットがしみじみとつぶやいた、聞こえてっからなこのおっぱい女。
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