第28話

 宝箱を手に入れた、しかしここは禄でもないファンタジーな罠の数々がある神殿だ。

 こんなところで宝箱を開けるのは危険だとチビエルフの俺は考える。


 と言う訳でさっさと神殿から出てお宝の確認をしたいと思います、あっそれとついでに……。


「ゴーレムクリエイト!」


 俺がクリエイトしたのはプレーンな人型ゴーレムだ、大きさはチビエルフな俺と大差ない子供サイズである。

  特出すべき点はその素材だな、あの黒いデッドリースコーピオンの毒針だけを素材にクリエイトしてみた。


 何でわざわざあの台座を素材のデッドリースコーピオンってやつの素材だけを使ったかと言うと、これなら持ち運ぶ手間が省けると思ったからだ。


「もしかしたら高く売れるかもしれないだろう?」


「……そうか」


 ミロットがちょっと呆れたような視線を俺に向けてくる、失礼なヤツだ。レア度の高そうなアイテムは取り敢えず確保する、それがゲーマーの流儀じゃ。


「ともかくここを出ようぜ」


「そうだな宝は手に入れたんだ、さっさと出るか 」


 俺たちは魔法陣に乗り帰還する、そして謎の神殿を出て来た時と同じように壺ゴーレムとコンドルゴーレムの力を借りて湖から出た。ゴーレムの大半はゴーレム化を解除して土に還す。


 白いバイラスゴーレムと黒い子供サイズゴーレムは壺ゴーレムに搭乗させてともに脱出した。


 その後は外に待機させていた超巨大なスネークゴーレムを湖に返してをゴーレム化を解除する、白いバイラスゴーレムはそのままで良いかな…黒いプレーンゴーレム、こっちはチビクロと呼ぶことにしよう。


 白いバイラスゴーレムとチビクロはこのまま残しておく、他のゴーレムと色合いが違うので何か特別感があって気に入った。

 さてっそれじゃあそろそろゲットしたお宝を開けるとしますか!


「この中にはどんだけの財宝があるんだろうな」


「正直、宝箱一つなら中に入ってる宝もそこまで多くはないと思うぞ」


「そんなクールなこと言うなよ~~」


 しかし確かにその通りだ、むしろ宝箱を開けたらカラでしたっという可能性もあったりするのだろうか…まああのファンタジーなトラップが生きていたんだからさすがに何かしらは入ってると思いたいが。


「あとはこの宝箱を開けたらモンスターでしたなんてことが無い未来を祈るか、それじゃあ開けるぞ」


 というわけで俺たちは少し離れる。

 白いバイアスゴーレムにお願いして宝箱を開けてもらおう。


「バイラス頼むぞ!」


 我ながらセコいよな俺……バイラスゴーレムは無言でタコ足を動かす、片方で宝箱が抑え、もう片方のタコ足で宝箱をガンガンぶん殴る。

 魔法で華麗に鍵開けとかとか出来たりしないんだろうか。


「ミロット、お前の使える魔法に宝箱開ける魔法みたいなもんはないのか」


「そういう魔法は持っていないな、鍵開けのスキルとなると盗賊関係の連中が思っているがそういう連中に知り合いはいなくてな」


 そうかこの世界に冒険者のクラスとかジョブでの盗賊とかっていないのかもな、少し残念だ。


「まあいいや、それよりバイラスゴーレムが宝箱ぶっ壊したぞ」


 宝箱が開く、中の方を確認するとそこにはなんと ランプがあった。

 宝石などで装飾された金色のランプだ、これは確かに高く売れそうである。しかし…えっこれ1個だけ?


 宝箱を中にあったのはマジでランプが1個だけである、なんかちょっと拍子抜けしてしまった。もっと金銀財宝が詰まってると思ってたのに……。

 いやっまだ何かある可能性は残っている。


「ミロットこれって魔法のランプだったりしないか?」


「魔法のランプとはなんだ?」


「擦るとランプの魔神が現れて願いを何でも叶えてくれる的な魔法のアイテム」


「そんな便利なアイテムがこの世にあるとは思えないな」


 そうか、さすがに異世界ファンタジーでもそこまでご都合主義なアイテムはねぇよな。

 はぁ~~と一つため息をつく、俺はとりあえずそのランプを手に取った。 


 するとランプの蓋が勝手に動いた。

 一瞬、マジでモンスターでも出てくるのかと思い速攻でランプをぶん投げる。


 地面に落ちたランプがカタカタと震え、そして蓋が開いた。

 そこから現れたのはなんとスライムであった。


「呼ばれて飛び出て僕、登場~~~!」


 スライムかよ! 驚かせんじゃねえよバカ。


 この世界のスライムとは雑魚の象徴だ。子供でもひっぱたけばスライムは倒せると言われるほどに スライムは雑魚だ、そんなスライムがランプの中に住んでいるだと? どうなってやがる。


「本当に驚かすなよふざけやがってぶっ飛ばしてやろうか!」


「なんだよ~~僕がスライムなのが悪いの? ふざけるなよはこっちのセリフだぞチビエルフめ~~!」


「!?」


 ていうかコイツ、喋ってやがるぞ。

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