第23話

「しかしあんな遠いところにあるなら一体どうやって行けばいいんだ?」

「う~~~ん」


 ミロットの言葉に俺は黙る。

 俺はしばし考える、そして答えを出した。

 俺にできることはゴーレムも作る事だけだ。


「多分問題はない、俺ならなんとかできるぞ」

「…………何?」

「ゴーレムクリエイト」


 俺が生み出したゴーレムはコンドルゴーレム1体 と壺ゴーレムを2体だ。

 壺ホーレムは大きいやつと小さいやつの二種類、人っぽい 手足を生やしている。


 そしてさっきクリエイトしてたコンドルゴーレムも呼んだ、これでコンドルゴーレムも2体である。


「これは、片方はロックコンドルをモチーフにしてるヤツだが……なんだこの気持ちの悪い壺は」


「壺ゴーレムだよ」


 気持ち悪いとは失礼な、異世界の現地人ジモティーは美的センスってもんがないな。

 俺は壺ゴーレムをマジマジと見る。まあ確かに壺に人間の手足が生えてりゃキモイよな。


 それはしょうがないのだ。それが壺ゴーレムのアイデンティティなんだから、キモい事も含めて意外と頼りになるナイスガイ、それが壺ゴーレムなんだよ!


「それでそのゴーレムでどうやってあそこに行くと言うんだ?」


「実際にやった方が早いだろ、この壺に入れ、大きい方な。俺は小さい方に入るから」


「は?」


 わけはわからないという顔するな。

 しかし俺が壺に入り、壺ゴーレムが両手を頭上に伸ばす、その両手が飛んできたコンドルゴーレムの脚を掴んだ。


 その姿を見てようやく納得がいった顔をするミロット。


「なるほどそういうことか」


「そういうことだ」


 この方法なら多分空を飛べる。

 呪文を唱えるだけでフワッと空を飛べたりなんか俺はしないので前々からどうやったらゴーレムを使えば空を飛べるか考えていた。


 これはそのアイデアのうちの1つだ。普通にデカイコンドルゴーレムを作ってその背に乗るとかも可能かも知れないが、落ちたら死にそうなので無い頭を捻って考え出したのが今の形である。


 実際にコンドルゴーレムを羽ばたかせ少し浮いてもらうと壺ゴーレムの腕が外れるなんてことはなく問題なく浮いた。


 というわけで出発である。俺とミロットはコンドルゴーレムに運ばれて湖の中心付近まで飛んでいった。

 安定感もあり悪くないフライトだ。


「おお~~やっぱり空飛べるってファンタジーで良いよな~~」


「良くない、私は高い所は苦手なんだぞ」


「……なら残るか?」


「絶対に断る、あんなこれ見よがしに謎の建築物があるんだぞ。いくに決まってるだろう」


 なら文句言うなし、高い所が怖いのは俺も同じなんだぞ、本当はな。

 コンドルゴーレム徐々に高度を落としていく、近づいて見てみるとやっぱり神殿っぽい感じの石造りの建物があった。


 よくもまあこんなもんが湖の底にあったもんだな、 神殿は地面の出っ張ってる部分にあるがこれは魔法かなんかで湖の底のこの部分だけ少し高めにしたのだろうか? なんか地形が不自然なんだよな。


  詳しいことはわからないが湖の底のヘドロに沈んでたら発見しても入りたいとは思わなかったのでちょうどいいや。


 神殿の前に到着したのでコンドルゴーレムを着地してもらう、そして壺ゴーレムから俺たちはのそのそと這い出した。


 さすが地面に濡れてるな当たり前だけど。

 あと中にモンスターとかいるのか?

 まあその時はやっぱりゴーレムにお任せだな。


 う~ん確かに神殿といえば神殿っぽいが……遠目で見た時にも思ったけど本当にこじんまりしてるな、取り敢えずトコトコと歩き入り口を探す。


 沈殿は歩いて数分ほどで一周できる大きさだった、 そして探してみると入り口もすぐ見つかる。


「ほうっここが入り口か、一応魔法で罠を類がないか確認してみるから少し待ってろ」


 魔法を使えるミロットが役に立ちそうな発言をする、俺は後ろで彼女を見守りながらしみじみと思った。この異世界に来てなんか初めて冒険らしい冒険をしていると。


 まあ別に異世界に冒険するために来たわけでもないし、そもそも自分の意思で来たわけでもないが……今まではどっちかって言うと冒険と言うよりサバイバルみたいな感じだったからな。


 そうっ冒険とサバイバルは違う。

 俺は異世界に来てサバイバルをしたいとは思わないタイプの人間だ、冒険はしてみたい人間だけどな。

  当然その冒険の末にものすごい財宝とか手に入れて、ものすごい沢山の人から敬われるような。そんな成功をしてみたいと思っている。


 まあ変に目立って嫉妬をもらうのはやだなと思う 思うのも本音なんだけどな、人間の欲望ってやつは どっちかを立てればどっちかは立たないもんなんだ。


 まあどうなるかなんてわかんないし、結局はなるようになるしかないってことだな。


「よしっ魔法による索敵は済んだ、少なくともこの神殿全体に魔法による罠とかはないだろう。もともと湖の底にあったものだし、物理的な罠があったとしても大抵は使い物にならなくなってるんじゃないか?」


「そうかそれじゃあ少しは安心して中に入れるってわけだ。ならいくぞ」




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