第2話 ミチとミカ①
パーン、パーン、パパパパーーーン
「「おめでとうございま~す!」」
いきなりのクラッカー音と声にびっくりして飛び起きた。比喩じゃなくて本当に2cmは浮いたのじゃ。
さっきまで横たわっていた無味乾燥な白い壁の部屋ではなく…いや、無味乾燥なのは同じなのだが、すごく広い。小学校の体育館ぐらいの広さのある白い壁の部屋なのだ。
そして今まで寝ていたであろうベッドではなくて、畳一帖分くらいの大きさの平坦な板のような物の上で飛び跳ねた。
下を見ると、何か水槽なような大きさの四角い箱が隙間無くきれいに等間隔に敷き詰められている。中に何がはいっているかは見えないが、体育館ほどの大きさの部屋に箱が敷き詰められている光景は不気味だ。
そして今までずっと無視してきたが、目の前では打ち鳴らしたクラッカーを手に持ち、こちらのリアクションを待っている風の少女?12~15歳くらいにみえるツインテールの少女2人がやっと話しかけてきた。
「おめでとうございま~~~す!」
「なぜもう1度言ったの、ミチ」
「いやリアクション薄かったので聞こえていないかと、ミカ」
「飛びはねて起きてますがな。リアクションはバッチリよ、ミチ」
「ちょうど目つむってて見逃してしまってた。今日一番のハイライトだったのに~~。わ~わたしのばかばか!」
「確かにあんたは、ドジでマヌケで、どうしようもなく抜けてるところがあるわよ。けどバカではないわよ、ミチ」
「バカじゃないのはわかってるけど…ミカに言われると腹立つわ」
向かって左の抜けてる赤髪のツインテールが「ミチ」
向かって右のツッコミ青髪のツインテールが「ミカ」というらしい。
自分は何がなんだかわからずにぽか~んと口を開けてそのやりとりを見ていた。
「初めまして最後の日本歴名で、え~っと…十朗さんでいいですかね。」
「堅苦しいからジューローでいいか?」
「それはいいですけど…ここはどこですか? 今、自分死んだばかりじゃあ…うわぁ~裸じゃんわし、素っ裸じゃん!モロ出しだし…っていいうかこの体なに?見える範囲の肌に張りがある…若いんだけど…若返っている?声も張りがあって…えっえっどういう事?」
「いきなり質問多いな。いっぺんに言うなよ~~」
「まあまあミチ、ジューローさんはここに来たばかりなのよあたり前じゃない。それを説明するのが私達の役割でしょ。たとえあなたが役立たずであろうが。」
「うわ、ひど!今、さらっと最後にひどいこと言ったでこの娘!」
「それではジューローさん、細かい事は私の方から説明させていただきます。おおまかな大事じゃない事はミチの方から」
「私はおおまか担当かい!…無視すんなミカ」
「じゃあミチの仕事は、主にうなずき担当でどう?」
「うむ」
「それではジューローさん、説明させていただきますね」
「うむ」
「あなたは、たった今あなたが地球と呼ぶ星で肉体の死を迎えました。」
「うむ」
「今のあなたの体は肉体ではない精神体というかイメージというか…私達と意思疎通しやすいようにビジュアル化されたイメージなのです。多分ジューローさんは若かりし頃の20代の肉体のイメージなのではないでしょうか?」
「うむ」
「あなたがイメージしている私達の12~15歳くらいのツインテール少女というのも、あなたのイメージに過ぎないのです。私達は実態をもたない存在ですので。」
「うむ」
「ミチ…うむうむ、うるさい!担当解任!」
「ひどっ!ミカからうなずき担当を割り振っておいて解任って!ひどっ!」
「ん~混乱してよく分かりませんが、自分が死んだのだということは理解しました。もしかしてあなたがたは神…」
「「違います!全然違います~~~!絶対違います~~~」」
ものすごい早さで否定された。2人がかりで否定された。
「私達はあなたの思うような神という存在ではありません。」
といってもジューロー達の考えで当てはまるような言葉がないから、まあ私達の存在は気にせんといて。謎の少女、ここではただのミチとミカで」
まあ、今のこの状況で彼女達の存在を理解してもしなくてもいいか。疑問には思うが、自分の想像の枠外の出来事なんかは考えてもしょうがない。ただ、自分はミチとミカが神様だったら、先ほどの気の利いた、ご褒美のお礼を言いたかっただけなのだが…否定されてはしょうがない。
それよりも今の内に1番の疑問を聞いてみよう。
「それで何がおめでとうだったんですか?何かおめでたい事でも?」
「うん、それが本題なんですけど…ミチ言ってあげて!」
「待ってました!ここはおおまか担当のうちの出番や!こほん、それでは……」
「次回に続く」
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