世界の揺らぎを観測し、私はあなたにたどり着く

篠騎シオン

巷で噂の作家探偵に独占インタビュー

記者「本日は作家で探偵をされていることで有名な狭間跳人(はざまちょうと)さんに取材をさせていただきます。よろしくお願いいたします」


狭間氏「どうぞよろしく」


記者「さて、狭間さんの著書『私は知っている』シリーズですが、大変な人気ですね。シリーズ累計1000万部を突破されたとか。狭間さんの作品と言えば、リアリティのある事件設定が一つの売りとなっているわけですが、執筆されるときに気を付けていることはありますか?」


狭間氏「しっかりと調査をしてかく。それに尽きるね」


記者「調査、というと、どういった?」


狭間氏「それは企業秘密さ。ま、一つ言えることは僕以外には無理ってことだね」


記者「なるほど。特殊で綿密な調査によって、あの緻密な世界が作りこまれているわけですね」


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記者「それではそんな大人気作家である狭間さんに対し、読者の皆様の疑問をぶつけていきましょう。小説だけで食べていけるのにも関わらず、探偵業を続けているのはなぜかというご質問を多数いただいております」


狭間氏「これだけ小説を書ける僕は、推理力が桁外れている。社会貢献のためにも、探偵業をやめるつもりはないね」


記者「しかし、狭間さんの解決している事件は、その……難事件はいくつかありますが、凶悪犯罪が少なく、亡くなった方のいない事件ばかり。探偵としての狭間さんの能力を疑う声もあります」


狭間氏「その声とやらを上げた方に言いたい。私が事件を断ったという噂を聞いたことがあるかい? 私は依頼を断ったことは一度もない。つまり、殺人事件などの凶悪犯罪を私に依頼する人がまだまだ少ないということが問題なのだね。我が探偵事務所では、いつでも依頼をお待ちしているよ」


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記者「最後にこれを読んでいる皆さんに一言お願いします」


狭間氏「我が探偵事務所にくれば、あなたの世界を変えてみせましょう! とでも言っておくかね」


記者「ずいぶんと大きく出ましたのね(笑)今日はありがとうございました」


狭間氏「こちらこそ、いい取材をありがとう」


月刊「ミステリアス文芸」より抜粋

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