男女の友情なんか成立しない

正直、思い出したくない。

無かったことにしたい。

あの出来事は別のどこかの、全く関係ない世界線の自分が体験した事で、今の自分の体験じゃないと言い聞かせたい。

でも、書かないといけない。

忘れないように書き留めて、あの現実を受け入れるべきだと思う。だから記す。


大学2年の4月頃、自分はチャットアプリでとある女性(Sと呼称する)と出会った。Sは優しくて、自分の欠陥についても好奇の目で見ないで受け入れてくれた。チャットを重ねる内に、そんなSに段々と惹かれていった。

ある日自分はSに告白した。結果は「嬉しいけど彼氏が居るから」ということだった。自分はショックだったけどそれなら仕方ないよねって事で友達として関わる事にした。Sとの親交は深まっていき、やがて実際に会って遊ぶ仲になった。そんなある日、今度はいつ遊ぼうかとSにメッセージを送ると、「2人きりじゃなくて海鼠の友達も呼んで欲しい」と言った。自分はそれを承諾して当時友達だったMを誘って、3人で京都に行く事になった。当日、自分達は京都で観光する事になった。MもSを気に入ってLINEを交換していた。それから度々3人で遊ぶようになった。

異変に気づいたのは夏休み頃だろか。いつもの様にSに遊ぼうとLINEするも、その日は無理だと。仕方ないからその日は1人でゲームして過ごしてた。で、その夜。MからLINEが届いた。

「Sとセッ○スしてきたわ」って内容のLINE。は?って思った。それと同時に衝動的に、Sには彼氏がおるの知ってんかと問い詰めた。Mは知ってると悪びれずに答えた。それどころか「SはSの彼氏に洗脳されていて、自分はそれを解こうとしただけ」とか、意味の分からない事を抜かしていた。自分は急遽グループで問い詰めた。そしたらSが「Mに誘われたから」とか言い始めた。MはMで「Sに誘われたから」とか言う始末。自分は、なんというか、裏切られたような感情に冒された。別にSの彼氏は自分では無い。でも、Mのやらんとしていた事って要するに寝取りじゃんかって。そんな最低な事をまさか自分の友達がやると思わなかったショックで吐きそうになった。そして、Sが最近自分と遊んでくれなくなった原因を知った。自分は彼氏の居るにも関わらずそういう事をやる奴とは関わりたくないという事でSをブロックして、Mとの縁を切った。Mは「死にたいなら勝手に死ね」ってLINEをしてきたけど、もう痕跡も見たくなかったのでLINEのスクショや顔写真も全部消した。全部消してから、なんだかどうでも良くなって、急に体の力が抜けた。Mの言う通り勝手に死のうかなって思った。死のうかな、というか、死なないと。に近い。こんな奴らと同じ世界で生きたくないって思って、台所から包丁を取り出して、首筋を薄く斜めに切った。少しだけなのに勢いよく血が垂れた。本当はそのまま切り続けて、出血多量で死ぬべきだったんだろうけど、痛みで我に返って包丁を置いた。

それからはあんまり覚えていない。ベッドに倒れるように寝て、起きたら夜だった気がする。この出来事が高校から順調に育っていた鬱病が爆発する起爆剤となったんだ。

この出来事は3年も前の話。自分でももういい加減忘れたいのに、記憶がどうしても消えてくれない。たまに思い出して死にたくなる。多分、この記憶はADHDみたいに一生付きまとう存在なんだと思う。

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