ただの石だった

道端にぽつねんと

人に顧みられず

子供に蹴られ

ナメクジに這われ

風に削られ

そこに在り続ける

私がただの石だったなら


きっと、こんな風に

怒りに焼かれることも

悲しみに濡れることも

憎しみに蝕まれることもなく

きっと

空に焦がれることも

海に黄昏れることも

愛に埋もれることもなく


きっと

あなたを思い出すこともない

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