色の数を数えてみる

青白い月がアスファルトの道を照らしていて

電信柱の根本に生える萎れた草も

目を瞑ってその光に浴しているようで

侘しい道には街灯もなく

てくてくと歩く私の足取りもどこか物悲しく

畑の向こうに見える民家の灯りがやけに妬ましくて

手の中に握りしめた哀しみの色の数を数えてみると

プリズムによって様々に分化したその色は

どうやら元はただの一つであったらしく

私はそれを壊さぬよう大切に握り直し

また、青白い月の照らす道を、てくてくと歩いていくのでした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る