昔日に飄々と枝葉は鳴き

踏みしだく道に萩の囁き

三日月は幽冥に東天へ浮き

薄雲流れて藍から茜へと


さめざめと泣く蟋蟀も

今はこの身に寄り添って

くしゃくしゃに丸めた体に

蕩けた落日がしなだれかかる


柘榴石ガーネットの欠片を飲み込んで

しわがれた声が地面を伝い

どこまでも希釈されて行き渡る

我が悲しみの散るほどに


我が悲しみの散るほどに

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