昔日に飄々と枝葉は鳴き

踏みしだく道に萩の囁き

三日月は幽冥に東天へ浮き

薄雲流れて藍から茜へと


さめざめと泣く蟋蟀も

今はこの身に寄り添って

くしゃくしゃに丸めた体に

蕩けた落日がしなだれかかる


柘榴石ガーネットの欠片を飲み込んで

しわがれた声が地面を伝い

どこまでも希釈されて行き渡る

我が悲しみの散るほどに


我が悲しみの散るほどに

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る