絵画

大理石の壁が目の前にあった

人の目を忍び、それでも厳粛に聳え立つ天然の大壁

白い肌に艶めかしく這う紋様は、天にて蟠る雲の群

斜めに罅割れた痕は稲妻の走り

土砂に汚されてできた大地

風雨に晒され、欠けた窪みが亡者の顔

絡みつく蔦は天に逆らう緑の森

また一つ、雨滴が流れ落ち、天使の涙となった

そう

これは生命の賛歌

足りないものはあと一つ

足りない色はあと一つ

私は自らの指先にナイフを這わせ、

その名画に、最後の色を塗り足した。

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