爛爛と燃えるストーブの焔は暖かな夜をくれて、

 蜜柑の皮を剥く手から、ゆるゆると香りを立ち上らせた

 蒲公英の栞を挟んだ本の背を、汚さぬようにそっと撫でると、

 取り替えたばかりの畳の上で、猫がくにゃりと寝返りを打つ

 その瞳はサファイヤに似て、とろりと微睡む私の顔がさかしまに映った

 伸びをしたその爪がジーンズの端にかかり、ひと騒ぎ

 ラベンダーの匂い袋がすとんと落ちて、それでおしまい。

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