現代語訳・好色百物語

@tei_kou

 杣木の桜、春に散りやすく

 とまのような月は、宿かる露を厭わない


 笠に寝て、杖に目覚め

 土筆つくしに暑さをしのぎ

 東に雪を重ねて

 世の中を見聞するに

 色情深くして、しかも怪しいことだけは特に世に絶えない


 二十年ばかりの旅のもてあそびに

 硯の海、筆の山が積もったので

 自然とこれを好色百物語と号し

 分けて五巻と成りました


 聖人は語らずと宣っているのになぜ怪しい話は世に広められているのだろう

 

 あれもこれも怪しい話であるから、「百物語」と呼び習わしているようだ

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