『ニジ・カンドラ星人が来た』
やましん(テンパー)
『ニジ・カンドラ星人が来た』
『これは、すべて、フィクションです。また、悪意はございません。』
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ニジ・カンドラ星人は、かつて、銀河系のエースであった。
その母星は、華やかで、清潔で、ちょっと危なくて、しかし、宇宙の秘密の多くを、探りだし、コントロールする技術を産み出したのは、じつに彼らが誰よりも先であり、まあ、なんだかんだと言っても、最終的には、大概、みな、うまくゆく惑星だった。
しかし、あさどら星人や、ひるどら星人が台頭し、力を得たのに反比例するように、彼らは、落ち込んでいったのである。
いまや、貧乏金なし状態であった。
その母星は、輝きも賑わいも失い、吹き抜ける乾いた風に、打ち捨てられた様々な機械や、宇宙挺が、侘しく佇むのみである。
まさに、『盛者必衰』の格言通りの存在である。
しかし、けっして、諦めたわけではなかった。
惑星の地下にあっては、着々と、再興のプログラムが、進行していたのだ。
つまり、虎視眈々と、復活を狙っていたのである。
そうして、その、復活をかけて、進出しようとしたのが、まだ、文明開花して間がない、後進惑星、地球だったのである。
ほどなく、あさどら星人と、ひるどら星人が地球をバラバラにする前に、(この宇宙では、)彼らが先に、地球を占領したのである。
落ちぶれたとはいえ、地球人の原始的な技術や武器では、まったく、歯がたたなかったのである。
ニジ・カンドラ星人は、正義感が強く、きれいずきで、ユーモアに富み、受けた恩義は忘れない。怨みもだが。
彼らは、地球人に、大宇宙で生き延びる意義や、秘訣、新しい技術など、まあ、様子を見ながらではあるが、伝授していた。
地球を、このあたりの、同盟惑星として、育てたかったのだ。
まあ、ほかの意図もないではなかったが。
しかし、なにかと、騒ぎを起こす地球人には、我慢強い彼らも、次第に、腹に据えかねるようになっていったのである。
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『総督、地球人は、まったく、あつかいずらいです。狡猾ではあるが、信義に欠け、戦い好きで、互いに殺しあいも辞さない。自分達が負けるなら、地球なんか絶滅させてよいと、考える。野蛮です。また、たいへん、失望です。』
司令官が、地球総督、トピラーに訴えた。
『短気は危険だ。司令官。非常に原始的な種族だが、才能はある。有能なものを、育成しているか?』
『もちろん。その為の、教育施設は、たくさん、創りました。が………』
『が?』
『が、根が反逆者的なのです。隙あらば、我らを攻撃したがる。通常のやり方では、洗脳できない個体が、かなりいます。闘争本能が強く、やたら、出世したがる。仲間を、蹴落としてでもね。謀略を巡らせ、徒党を組む。たいへん、やっかいな、種族なのです。このさい、多少。思いきった、強力な刺激を与えてやるべきでありますな。つまり、身の程を、悟らせるべきです。改造波、を使いましょう。』
『いや、自分は、そうは思わない。彼らのやり方は、尊重しなければならぬ。大皇帝陛下のご意向も、そうである。』
『畏れながら、閣下。あさどらや、ひるどらが、狙っておりますぞ。情報では、どうやら、同盟を作ろうと、していると。戦いになった場合、地球人を、戦士として使うには、もっと、強力なやり方が必要ですし。』
『私が、甘いと?』
『いえ、閣下。しかし、貴方は、学者さまで、文官です。ここは、我々、武人にまかせてみてください。かならずや、大皇帝陛下や、あなたさまのご意向に沿う、平和な、美しく栄える惑星にしてみせましょう。地球人類の、大改造を実行します。なに、改良した、強力改造波を、地球全体にくまなく、もれなく、照射するだけです。我らには、影響はない。すぐに、地球人たちは、平和を愛し、我々と、自らすすんで、共同するようになります。まあ、一部、約8%程から、10%程は、うまく適応できず、錯乱する個体はでるでしょう。それらは、食用にすれば、よろしい。かと。』
『食べるのは、簡単だが、しかし、それは、皇帝陛下の許可を受けねば。』
『なんと! あなた様ほどの方であれば、専決事項でしょう。』
『いや、しかし。』
『閣下、中庭をご覧なさい。あなたの、ご英断を、みな、待っておりますぞ。あなたが、実際に、偉大なる総督であることを、証明するべきであります。』
司令官が、テラスに出る扉を開けた。
すると、ニジ・カンドラの、兵士たちの叫びが聞こえたのだ。
『総督、万歳。我らの栄光を与えたまえ。総督、万歳……………』
『あれが、皆の声なのです。落ちぶれた我らの、復活を望む叫びなのです。』
総督は、美しく華やかな噴水で、手を洗って言った。
『あなたの、好きなようにやるがよい。私は、干渉しない。』
『ありがたき、おことば。』
それから、地球人は、あさどら星人、ひるどら星人の連合軍と、戦うこととなった。
地球人の半分以上が、命を落としたが、ニジ・カンドラ星人が持つ兵器にも助けられ、なんとか、あさどら・ひるどら連合軍を、撤退させることに、成功したのである。
地球は、それ以降は、平和になり、まさに、ニジ・カンドラ星の再来とまで言われるようになったのだ。
ニジ・カンドラ地球は、その先、長く栄えたのである。
ただし、地球人は、有能な一部以外は、食用として、飼育される立場になり、和平を結んだ、あさどらや、ひるどらにも、食用として、輸出された。
ここに、支配系の地球人と、食用地球人が、分かたれることになったのである。
めでたし、めでたし。
『ニジ・カンドラ星人が来た』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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