彼女と、僕
バブみ道日丿宮組
お題:狡猾な僕 制限時間:15分
彼女と、僕
彼女は日頃からヒステリックに怒る。
僕はそれが怖かった。
じゃぁなんでそんなやつと一緒にいるのかといえば、彼女の側にいれば日陰者にはならないから。彼女はとても人気のある生徒で、誰にでも評価される人間。スタイルも顔もいい。性格はちょっとあれだけど、近くにいるだけで、誰もが元気になれる存在であった。
反面僕はといえば、身長も低く、顔も整っておらず、胸だって出ていない。彼女とは間逆な肉体、そして精神だった。憂鬱さが僕を支配してるといっても過言じゃない。いいところが1つもないんじゃないかってぐらいの状況だ。
そんな僕は、彼女以外には相手にされない。むしろ敵だと思われてる。いじめがないのは彼女が側にずっと居続けてくれるから。非常にありがたい存在。天使といってもいい。そんな二つ名が学校にあるのも知ってるが、きっとそれを言えば、彼女はまた怒るだろう。
二人っきりの生徒会室で、僕はカバンからデコレーションされた箱を取りだす。
そしてそれを彼女へと渡す。
今日は彼女の誕生日。
「ありがとう」
用意してた誕生日プレゼントを彼女は受け取った。
他にもらったプレゼントより先に僕のプレゼントを開封した。
「リボン? 可愛いデザインね。ハロウィンだからかしら?」
彼女が手元に出したのは、ハロウィン柄(ジャック・オー・ランタンが描かれたもの)のリボン。長髪の彼女がつけたら、きっと見栄え良くなると思った。
まぁ……なくても彼女の魅力は何も変わらないものだと思う。
「つけてくれる?」
頷くと、彼女の後ろにまわり、リボンを受け取って装着する。
彼女の髪は僕と違ってサラサラであった。
「くすぐったいよ」
いつものとは違う怒り方。テレが全面的に出てた。
良い傾向だと思った。
これならばと、
「明日の休み? 空いてるけどどうして?」
僕はスカートに乱雑にしまっておいた遊園地のチケットを取り出す。
「へぇ……わたしと行きたいの?」
頷く。
「じゃぁ、あなたもキレイにしなきゃダメね。今日はわたしの家に泊まりなさい。おばさまにはこっちから連絡しておくから」
行こっかと、彼女は立ち上がり、生徒会室をあとにしようとしたので、
「プレゼント? それは来週学校に来たときにみるから」
問いかけると、彼女は肩越しに振り返り笑った。
「あなたのプレゼントがあれば、ほかはいらないし」
幸せが胸の中で、ドクンとした気がした。
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彼女と、僕 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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