第39話寂れた遺跡

エルフの族長から試された依頼は、カリュドーンの討伐だった。


一度は相手にしたことがあるが、いつだったか・・・。


「コバヤシ?話、聞いてる?」


「ああ、すまない」


ここは毒沼地帯だった。スラ子はモロにダメージを喰らうので道を選んだり、背負うことも必要だった。


「わっ!」


「まったく・・・」


「やけに慣れてるじゃない?私も背負ってもらおうかしら」


「勘弁してくれ・・・」


毒沼地帯を抜け、森を進んでいくと少し崩れた遺跡の入口らしいものが見えてきた。


この向こうに追いつめたカリュドーンが逃げ込んだらしく、それが今回の目的らしい。


しかし、


「どうしたのよ?」


「こういう雰囲気のときには、ロクなことがないんだ。言葉にするのは難しいが・・・」


「わっ!今までだって平気だったし大丈夫だよ!」


3人は暗い下り道を下りていく。視界が悪いしブロブに気を付けなければならない。


「灯せ」


魔力消費があまりないダガーを召喚し、炎をエンチャントする。


あなたってこういう時は便利ね。とニナは口にする。


「魔術師だからな」


「わっ!私だって!」


ため息をつき、ニナは言う。


「あなたは戦いの時に魔術を使いなさい。わかった?」


「わっ!わかった!」


ぽっかりと空いた入口はまるでパーティを誘い込む罠のようだった。














「まったく、ここは時々くるけどホントは入りたくないのよね・・・」


この洞穴に入るのは2週間ぶりくらい。彼はブロブよりめんどくさい魔物がいるのを知らない。


その魔物は、


「ゴブリンロードが住んでいたのよ。つまりまだ安全とは確認されてないのよね」


サーウェスと来たときはホブと言われるゴブリンの中ボスみたいなやつしかいなかったけど。


彼を先頭にしてパーティは進んでいく。


「まってくれ」


「なによ?」


彼は立ち止まると地面を指さす。


・・・これは足跡ね。


恐らくゴブリンロードの残党だろうけど。


「ここにはよく魔物が住み着くのか?」


「そんなこともないけど・・・」


ゆっくりと一同は奥にすすんでいく。


「ギャギャ!」


今の声は・・・ゴブリンかもしれない。


しかも複数、


「わたしにまかせて!わっ!」


彼女は最初に呪文でせん滅させたあと残りの残党を狩るのはどうか、と提案する。


あいつにそっくりね・・・。


「どうした?」


「あ、いいのよ。ごめんね」


その先に進みながらコバヤシはショッキングな話を聞くことになる。












遺跡を順調にすすんでいく。どうやらこの場所に探しに来ている冒険者がいるらしい、


「・・・サーウェスよ」


・・・!


ニナの話によると依頼でこの遺跡に来た時にサーウェスが皆を逃がすために囮になったのだ、と


「・・・そうか」


すると、


「まって」


ニナは何かを見つけたようで俺を呼び留める。


指さす先には足跡があった。・・・これは。


「ゴブリンね」


「わかるのか?」


「私はレンジャーなのよ?間違ってはないとおもうわ」


足跡から察するにニナが言うには7から8くらいだそうだ。


一同は慎重に、不意打ちに気を付けながらすすんでいく。


それらはすぐに出会うことになった。


・・・!・・・!


何かの声が聞こえる。


遺跡の奥、こんなところで捕まったとしたらサーウェスは・・・。


「いるみたいね」


「わっ!」


「そのようだな」


どうせ戦わなければならない、不意打ちをすることにした。スラ子の提案どうり詠唱を始める。


「アクア・ランス!」


不意打ちのスラ子の呪文が数を減らし、あとはニナと俺が残党を狩る。


「いくわよ!」


「ああ!・・・ディザーヴウ!」


「ギャギャ!」


突然の不意打ちにゴブリンの群れは動揺する。


所詮ゴブリン、有利な条件でこちらから仕掛ければ大した群れではない。


「はっ!」


コバヤシはダガーでニナとスラ子で仕留めきれなかったゴブリンを仕留めていく。


飛び道具が2人もいるのだ。


「頼りになるな」


「たまには可愛げのあることもいうのね」


「ああ」


「わっ!ありがとう!」


さて、


ゴブリンが全滅したので皆でサーウェスの痕跡を探すことにした。


無事とは思えないが。


「わっ!コバヤシ!」


「どうした?」


スラ子が指さす先には折れた剣が転がっていた。


「・・・この長剣、彼が愛用するものにそっくりね。」


血の跡が続いている。


痕跡を追っていると遺跡の最奥についた。


祭壇のようなものがあるそこには、


「そんな・・・。ダメだったのね」


血まみれになった冒険者の死体が転がっていた。














「最悪だけどこれも冒険者の宿命だものね。・・・せめて神の国で幸せに暮らせるといいわね」


ニナは寂しそうに独り言の用に呟いた。




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