第38話エルフの森

およそ1日くらいだろうか、ごとごとと規則的に揺れる馬車に揺られて仮眠をとっていると目的地に着いたのだろうか「つきましたよ」と声を掛けられる。


「うー-ん・・・」


スラ子は熟睡していたのかゆっくり背伸びをしている。


「おはよう」


「コバヤシ、もしかして起きてた・・・?」


「いや、ここから歩くからな。軽く寝ただけだ」


近くに置いておいた冒険者グッズを腰に付ける。


「よっと」


馬車を下りると目の前には涼し気な樹林が広がっていた。気持ちよさそうな天気も相まってなんとなく癒される。


「わああ!なんか私が住んでた森に似てるね!」


二人が馬車に下りると、見知った声が聞こえた。


「遅かったじゃない!イヴォータル(不死)の私を待たすなんてすごいことよ?」


ニナが皮肉めいたセリフを吐く。彼女は不機嫌ではないだろうが流石エルフだ。


「俺の住んでいた故郷では、ブラックジョークっていうものがある」


「聞いたことないわね・・・。まあ褒めてくれたようだし今回は見過ごしてあげるわ」


コバヤシは呆れてため息を突くと、


「感謝するよ」


そう答えた。














澄み切った空気に立ち並ぶ木々、一度も来たことがないが感嘆の息を漏らす。


「わああ!美味しそうなリンゴ!」


「取っていいけど、お姉ちゃんの許可をとってね」


「わっ!なんで!」


そのタイミングでコバヤシは懐から金貨を1枚取り出すと、


「これでどうだろうか」


ニナに放り投げる。


彼女は呆れた顔で言った。


「依頼達成ね。冒険者ジョークのつもりかしら?」


「許してやってくれ」


二人がスラ子に視線を戻すと、


「わっ!」


既にリンゴを抱えていた。


ニナはため息をつきながら、苦笑したのだった。
















「ただいま、客人が来たよお姉ちゃん」


「美味しそうな果物がいっぱい・・・!」


樹林の最深部、エルフの居住スペース、


そこには顔立ちの整ったエルフの住民がこちらを迎えてくれた。


「よろしくお願いします」


「わっ!」


「こちらへどうぞ、冒険者様」


テントのような円錐形の布で出来た簡易スペースに通される。


中には長老のような雰囲気のエルフ。


年齢を感じさせないエルフの中でも年季を感じる。


コバヤシはギルガメッシュ王から頼まれた手記を取り出す。


「こちらをどうぞ」


「頂戴します」


無言で丁寧に手記に目を通し、こちらを見る。


「この里に用事で来れるという事はそれなりの実力がある、ということですね?」


「まあ・・・否定はしませんが」


「ふーん・・・?あなたにしては腰が引けてるじゃない・・・?」


「ちょうどいいですね。ニナ、彼らの実力を図るクエスト(依頼)に同行しなさい」


_____またこれか。


コバヤシは依頼書に目を通す。












「いくぞ。」


「わっ!」


「よろしくね。魔剣使いさん?」


テントに後にし、彼はため息をついた。

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