第28話新米冒険者
「えーと・・・新米冒険者、リッドと言います!」
「私はアリサです!」
依頼を受けに冒険者ギルドにスラ子と訪れると、俺たちは新米っぽい二人の冒険者に声を掛けられた。
どうやら初めての依頼らしく同行してくれる先輩冒険者を探しているようだった。
装備は青年はこん棒、少女は弓を持っていた。
クラスは戦士とレンジャー、か。
他の冒険者にも二人で声をかけて回っていたがどうやら俺たち以外対応してくれる冒険者はいないようだった。
「ねね!何を討伐するの?」
「はい・・!えーと・・・」
彼らは依頼書を俺たちに見せてくる。内容は・・・。
「ビックラッド・・・巨大ネズミか」
「そうです!」
「報酬は・・・こんなものか」
危険な魔物なのだが、初心冒険者でもこん棒で打ちのめせるので報酬はそれほど高くない、と聞いたことがある。
「わたしついていこっか?」
「良いんですか!?」
スラ子は心配そうに言った。
「しかたない、見捨てて死んでしまったりしたら寝覚めが悪いからな」
「コバヤシも来てくれるんだ!なら大丈夫だね!」
「ところで、薬はしっかりあるのか?」
4人は地下下水道に向かって市場を通っていた。
ビックラッドは感染症も持っているので薬は必須だと言われている。
薬も持たずに行くのならそれは注意するべきだ。
「え・・・?薬、ですか?」
「そうだ、せめてキュアポーションくらいはないと危険だぞ」
どうやら二人は冒険者グッズをもっていないらしい。多少は無理をしてでも用意すべきなのだが。
「仕方ない、カネが出来たら返してくれよ?」
「すいません!」
「・・・キュアポーションはある程度カバンに入っていたような・・・あった」
申し訳なさそうに二人は俺たちにお礼を言いながら頭を下げる。
なんだか、先輩風を吹かせているようで気分が悪い。考えすぎだろうか。
「コバヤシさんは冒険者になってどのくらいなんですか?」
「あー・・・1年くらいかな」
「すごいですね!1年で中級クラスなんて!」
「運がよかったんだ」
嘘は・・・ついていない。思えばこの期間忙しくて危険な依頼ばかりだったし・・・。
「あ!ついたよ!地下への道ここでしょ!」
スラ子がそういうと地下への入口が見えてきた。
「行くぞ、気を抜くな。俺もフォローするが一人前の冒険者になりたければ自分で考えて行動する癖を身につけろ」
「・・・はい・・!」
コバヤシはそういうと薄暗い入口に足を踏み出した。
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