第53話 修学旅行

 二年生の最大イベントと言ったら修学旅行。

 今、来ている場所は北海道!

 することは、一つしかない! スキーをする!


 スキーをしたことないからテンションが上がってしまう。


「する前から目がキラキラしているね」


 雫が手で口元を隠して笑いながら言われる。


「結構、表情に出さないように隠してたけど雫が見破ってくれると思わなかった!」


「恋人だから、わかるのは当たり前だよ」


 自慢げに言っている表情ですら可愛い。

 待っていると滑り方を教えてる人が何人かいるみたいなので簡単な説明と実践じっせんを交えながら教えてくれた。


「早く自由行動で滑りたいね!」


「でも結構、難しいよー」


 スキーの止め方とスキーの脱がし方、怪我をしない転び方を教えてもらった後は、自由行動になるけど雫は、怖がっていて付きっきりで教えてくれる人がずっと側にいた。

 でもずっと側にいられないので上手い人が側にいるように言われたので自分から挙手する。


「貴方は、物覚えが早かった子ね! あの子の側にいてもらってもいいの?」


「元から側にいるつもりでしたので気にしないでください」


 そうなのね、と優しく微笑んでクラスの子達の前に行って時間になるまで自由に滑っていいです、と言ってどこかに行ってしまった。


「滑るか!」


 雫に向けて言うと小鹿みたいにプルプルとした足取りで立っていて今にも転けそう。


「危ないね……」


 真帆ちゃんが、雫を見て言っている。

 自分も危ないと思ってしまったから何も言えない。


「変なところに行きそうになったら、わたしが雫を止めるから安心して滑っていいよ!」


「その瞬間を目にすることができたら鼻血がでるかもしれない」


 澪ちゃんがキリッとした目で言うけど冗談に聞こえないんだよな。


 そんな話をしながら四人乗りのリフトに乗って頂上に行く。


「高い……」


 見下ろすと結構な高さがあるから、スキーを滑っている人が沢山いるけど小さい豆粒ぐらいにしか見えない。

 先に雫を滑らせてから自分が滑った。


 雫が、フラフラとしながら滑って行くのを遠くで見る。

 自分も雫の後をゆっくりしたスピードで、ついていくようにした。


 コース外に滑って行ってしまう雫を止めるために自分がスピードを出して雫の真隣に行って、腰を引き寄せてからコースの道に引き戻す。


 時間が経つにつれて雫も滑るのに慣れたみたいで一人で滑れるまで成長できた。

 でも時々、人にぶつかりそうになる時があるからフォローしたりするけど自分も足元が狂って、一緒に雪の上に転がったりして顔面が雪まみれになって笑い合ったりした。


 スキーも慣れたのでスノボーとかも、できるか聞いてみる。

 快く貸し出してくれると言ってくれたので少しの間だけ教えてもらって練習もした。

 滑るところを見せた時点で、もう教えることはないから滑っていいよ、と言われたので頂上に行って試しに滑ることにする。


 自分が、スノボーをしたかった理由は、カッコイイからだ。

 滑る時と止める時がカッコイイんだよな!

 事前に動画とかで予習したのも良かったのかも。


 スノボーを滑れるってこんなに気持ちいいのか。


 四人で一緒に滑ったりして修学旅行を楽しく満喫することができて後日、聞いた話で自分のクラスの先生が一番滑るのが上手かったとお店の人から評判が良かったと噂が流れていたのだった。

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