第39話 先輩との別れ

 雫の家に来て出てきたのは、一口サイズのカップケーキがテーブルいっぱいに並べられて目の前に出された。


 どれもカラフルにデコレーションされていてカップケーキの上にミニマカロンなども乗っていて食べるとほっぺたが落ちるほど美味い!


「美味しい! 毎日、雫が作ったの食べたい」


「それって少女漫画とかででてくるようなセリフじゃん……」


 小さい声で呟いてこっちを見てくる。


「あんまりそういうことは、言わない方がいいよ……。勘違いしちゃいそうだから」


「うん。わかった……。ごめんね」


 自分の言動を雫に注意をされて落ち込む。

 変なこと言ったかな……。その後は、普通に許してくれたから喧嘩までしなかった。


 玄関まで雫が見送ってくれて家に帰る。


 チョコも渡せれたしご機嫌で帰ると結花が待っていてチョコを渡された。


「ありがと。結花」


「別に、たまたま残ってただけ」


 そう言ってるけど手作りにしては、結構な量がある。


「またいっぱいチョコ貰ってるねー」


 結花に言われて袋を見る。

 手には、いっぱいのチョコが入っていて中学生の時に貰ったチョコ記録が更新され続けてるな。


「作ってくれたから大切に頂こうと思ってるし当分は、お菓子に困らないね」


 そうだねと結花も納得していて結花にも少しだけチョコをあげた。




 バレンタインデーも終わって後は、もうすぐ新しい一年生が入ってくるし自分も二年生になるんだ。

 学校では、何気ない日常を過ごしてその間、三年生との別れの時が、じわじわと迫ってくる。


 三年生の先輩とは、部活でしか会わなかったけどいざ卒業すると考えると悲しい。

 先輩達は、部活に遊びに来てくれたりするけどほぼ参加はしなくなった。

 バスケを少し教えてくれたりはしてくれる。


「先輩もうすぐで卒業ですね……。一緒にバスケできて楽しかったです」


「ブハッ! 怜の辛気臭い顔とか初めて見た!」


 自分が言った発言に先輩が大爆笑して釣られて部員の何人かも笑い出す。


「やっと笑ったね。最近、みんな元気ない顔されてたから何事かと思ったら卒業で悲しんでくれたのか」


 先輩がニコッと笑って良い後輩をもった、と言ってる先輩の目から少し涙がでていた。


「先輩が泣いたらわたしまで泣いちゃいますよ……」


 一年や二年の子達が言いながらもらい泣きして先輩と一緒に泣いている子もいた。


「卒業とかしたくないよ。でも夢を追うには、新しい世界に飛び込んで行かないといけないからね」


「先輩の夢って何なんですか?」


 一年生の子が先輩に質問してる。


「バスケ選手だよ。諦めきれなくてね……」


 先輩が、こっちを見て目が合う。


「怜とのバスケは、楽しかったよ。いつかまた、一緒にできたらしようね」


 その言葉の意味は、わからなかったけど自分の夢は、まだ決まってない。

 だけど仲間とするバスケは楽しいから、ずっと続けたいと思った。


 一年生は、卒業式には参加ができない。

 だから最後に会うのは、二年生だけ。


「また機会があったら、したいです!」


 それ以降、先輩は部活に顔出さないで卒業していった。


 自分も二年生になって新たな一年生を迎える。

 その中には結花もいて、また賑やかになりそうな予感が待っていると思った。


 二年生になって変わったことと言ったら席替えで雫とは、遠くに離れてしまって澪ちゃんが自分と近い距離にいる。真帆ちゃんと雫は、その少し向こうだから昼休みとか休み時間の移動が面倒くなった。


 普段から近くにいるのが当たり前だったから寂しくも感じる。


 それと進路の話も増えた。

 まず、どんなことをしたいかの希望など書いて卒業まで相談や三者面談も交えたりするそう。


 雫との関わりも次第に減っていって先生との対談が多い。

 進路の話とかしているのか、わからなかったからあんまり突っ込まないようにするけど気になる。


 そんな少し話も減った状態で行われる文化祭。

 自分的には、絶対に雫と関われるようにしたいから同じ作業をしたいと目標を掲げた!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る