第29話 緊急事態
練習時間があるから先輩達がコートで練習している。緊張もしているみたいだからシュートも入っていない様子だった。
ただ、それを眺めるしかできない。
一年生と二年生は、心配しているように見ていて監督はただ先輩達を見ていただけだった。
練習時間が終わって戻ってくる三年生に監督が何か言っている。
その声は、でかくて自分のいるところにも聞こえた。
「表情が死んでる! 楽しそうにやることを忘れたら意味ないだろう! 最後だから好きに暴れてこい」
監督が三年生達にそう言う。
三年生の表情とかが変わって自分のほっぺたをバンッと叩く人もいた。
試合が始まったが緊張もほぐれて本調子の動きになっている。
点数もほぼ変わらないけど少しだけ自分達の高校のがリードしていた。
このまま維持できたら勝ち。
相手の高校チームも点差を埋めれないで焦っているから冷静になれない状態になっているから攻めるチャンスがある。
自分のチームがバスケボールをパスをして先輩が走り出そうとした時に相手チームと接触して先輩が倒れ込んでしまった。
すぐに試合がストップして監督が行く。
立ち上がるけど足を引きずっているのがわかった。
先生が戻ってきて伝えられたのは、足を捻っているから選手交代をすると言って真っ直ぐに自分を見て言われている。
「試合に出てくれ」
「わたしが、ですか!?」
まさか選手交代で選ばれるとは思わなかったのでびっくりしてしまう。
「先生、私達は二年生です! なぜ一年生なんですか!」
「私も反対です!」
納得していない先輩達が凄い反対している。
試合出るのが最近、入ったばかりの一年生だと腹も立つだろう。
さすがに先輩に出てもらいたい。
「わたしも二年生の先輩が出るのがいいと思います。まだ、入ったばかりだから足を引っ張ると思います」
「いや、ダメだ。お前が行ってこい」
うっ……。先輩達が悲しそうな顔をしながら自分を見てくる。
「わかりました。試合に出ます」
先生に言われたらもう出るしかない。
三年生の先輩達とは、始めてプレーするからとりあえず味方にボールを持っている人がいたらパスしやすい方向に行くように心がける。
自ずとボールが回ってくる回数も増えてシュートをする機会も増えた。
マークをされ始めるからそれを華麗にかわして行ってシュートを決め続ける。
バスケ楽しい!
ずっとしていたいな! 試合終了の合図があって勝てたけど笑いながらバスケをしていたみたいで楽しそうにしてたね、と言われた。
次の試合も勝ったので、この試合をきっかけに先生からレジュラー入りを言い渡されて出番が増えるし自分的にはラッキーって思う。
でも先輩達の気持ちを考えると少し複雑な気持ちにもなる。
試合が終わって家に帰宅するとお父さんが嬉しそうに玄関に来た。
「なんか嬉しそうだね」
「まさか部活に入ったばかりなのに試合に出ているのを見たら嬉しいからねー」
なんで試合に出たって知ってるんだ?
「仕事じゃなかったの? それになんで知ってるの?」
「たまたま動物の動画を見ている時にオススメに出てきたから見たら怜が活躍してる動画だったよー」
お父さんが見るとか恥ずかしい!
仕事だから絶対に見られていないと思ってから動画が拡散されているとは思わなかった。
安心してたのに試合出てるってわかったら、トレーニングが今より増えそう……。
地獄の日々がやってくる。案の定、試合に出ているならトレーニング量を今の倍に増やされてしまったから倒れるかと思った。
次の日にクラスの子達から話をかけに来るのが増えたが、それは全部バスケの動画を見た子達からだった。
どんな子か見るために別のクラスからも人が見に来る自体にまでなってしまうのが恥ずかい。
もちろん、自分の担任も注目されているのを知っていて冷やかに来ていた。
「派手に暴れまくってたな」
やっぱり、兄貴も見たのか。最悪だ。
こんなに騒がしい日が来るとは、思わなかったな。
授業がおわって部活に行ったらを動画を見て学校に取材をしたいと言われていて先生が取材していた。
自分も一年生で大会に出た感想など色々聞かれる羽目になる。
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