第25話 勉強会

 部活とかの基礎練習をしていたが、バスケの顧問が、期末テストの時期なので勉強に集中するようにと部活禁止されてしまった。


「雫で癒やしてもらおう」


「えっ、もう恥ずかしいよ……」


 雫もテストは、大事だからバイトを少しだけ休みの日にしか入れていないみたい勉強に専念するみたい。


「見ているこっちのが何倍も恥ずかしいけど相変わらずのイチャイチャだね。澪もそう思うでしょ」


「わかる。美しすぎるし絵になるぐらい綺麗すぎる。やっぱり百合は、最高」


 真帆ちゃんは、目だけがこっち向いてるのにメモ帳に何かを書き込んでる。文字ちゃんと書けてるのかな。

 澪ちゃんは、よく百合って花の言葉だけどなんでよく使うかわからないな。


 二人が凄く見ているのは、雫を自分の太ももに乗せてテストのことについて話し合っている最中だからだ。


「テスト苦手だから四人で勉強会したくない? 教え合ったら分からない問題も、どうにかなりそう」


 自分が勉強会の時に雫と近い距離で一緒にしたいのと雫がいないと勉強自体をしないと思うから。

 ほぼ前者のが理由だけどそれはさすがに言えない。


「いいね! それ賛成」


 真帆ちゃんが言ってくれて、他の二人も頷くので休みの日に勉強会をすることにした。休みの日、以外は基本学校に残って勉強になる。


 放課後の勉強会の初日だ。


「この問題、難しいね」


 基本的に分からない問題は、雫に聞いている。


「あー、ここは、この公式を使うと楽だから覚えてたほうがいいよ」


「雫の教え方は、分かりやすい説明だね! 先生とか似合いそう」


 教師の兄貴に勉強を教えてもらって合格できた。

 兄貴も教え方とか上手いけど雫も上手い。


「そ、そうかな?」


 頷いて雫の先生姿を妄想してしまう。こんな可愛い先生いたら生徒の男子全員惚れるよな。


「ほら、怜。集中して勉強するよ」


 雫に怒られて落ち込むけど勉強しないで赤点を取ったりしたら部活できないから本気で頑張る。

 期末テストは、覚える教科がいっぱいあって頭がパンクしそう。


 時々、助っ人として様子を見に来てくれるのは、兄貴だ。

 雫が分からない問題の時とかに教えてそれを雫が理解して自分に分かりやすく教えてくれる。


「鳳城は、理解が早くて助かるな。どっかの誰かと違って」


 それ、絶対に自分だわ!

 くっ、馬鹿にされているからムカつく。

 絶対に赤点を回避してやる!


「先生、妹を馬鹿にするのは最低です」


「名前呼んでもないのに反応するとか心当たりがあるからじゃないか? まあ、気にするなよ」


 なに、この気持ち。

 慰められてるだと!? それに地味に煽りが入ってるから苛ついてしまう。


「雫、ここ教えて!」


 それからは、毎日馬鹿にされたことを見返すため必死になった。


 勉強会は、自分の家でする予定。

 広いしお父さんと結花も快く許可してくれたのだ。


 そして今日が勉強会!


 ピンポーン。


 インターホンがなったので玄関に行く。

 最初に家に来たのは雫だ。遊園地の時と少し違う控えめだけど可愛い服を着ている。


「他の二人が来るまでイチャイチャしたいな……」


 少しおねだりするように雫の顔を見て呟く。


 雫も押し負けて少しだけイチャイチャすることを許可してくれた。


 普段から距離は近いけど、休みの日は雫がバイトを入れているから休日は会うことに少なったし、雫を太ももに乗せたり恋人繋ぎしか最近できていない。


 雫に向けて手を大きく広げる。


「雫と久々にハグしたいなー」


 そう言うと雫が自分の目の前に来て、体にピッタリとくっつけてくる。


「私も怜とハグしたかった」


 雫もハグしたかったと聞いて嬉しくなる。

 ハグができて幸せを感じてしまう。


 雫がハグしながら言ってくる。


「好き」


 雫から好きって言われるとか初めてだ。

 めっちゃ、嬉しいな。


「わたしも好きだよ」


 雫が顔をこちらに上げて目と目が自然と見つめ合う。

 少しずつ、距離を近づけると雫が目を瞑る。


 雫の頬に手を添えて唇と唇が触れ合う距離まで来て重なり合いそうになる瞬間──いきなり部屋のドアがガラッと開いた。


「おはよー! 澪と合流してたら遅くなったー」


「おはよ」


 反射神経が良かったからすぐ離れたけど部屋でイチャイチャしすぎて自分達は、インターホンの音が気づかなかったから、妹の結花が出たそうで部屋を教えてもらったみたい。


 ノックもなかったからそこだけ真帆ちゃんに気をつけてほしいと伝えてた……。

 タイミングが凄い時だったから急にドアが開いたことに驚いてまだ心臓がバクバクしてる。


 うわー。できなかったー!

 めっちゃ良い雰囲気だったからあと少しだったのに……。


「どうしたの? なんか顔が二人とも真っ赤に見えるような感じだけど?」


 真帆ちゃんが様子が違うのに気づいた。


「もしかして──なんか邪魔しちゃった?」


 澪ちゃんが自分達の反応を見て言ってくる。

 慌てて、首を横に振るけどそれがまた怪しく見えたみたいで真帆ちゃんと澪ちゃんの二人に、からかわれながら勉強会をした。

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