第20話 デート

 デートが楽しみすぎて毎日の授業も楽しい。


 それは、雫も同じようで真帆ちゃんと澪ちゃんに報告が逐一入っている。


「ここ最近、雫ちゃんが生き生きしていて眩しい!」


「相当、嬉しいだろうね」


 真帆ちゃんの興奮気味は、いつものことになってきて、澪ちゃんは、冷静だ。

 冷静じゃない時もあるけどね……。


「まだ、雫は、冷たいからわかんないなー」


 二人がハッと見つめて、同時に答える。


「「それ、ツンデレだよ!」」


 何その単語。それに声がでかい。


「落ち着いて! 大声出す理由は、わからないけど不思議そうな顔で、みんながこっちを見ているから!」


「あー、最高。喧嘩するとあんな可愛い子がツンデレになるのか! 怜ちゃんは、わかってないねー! 今は冷たいけど、いつか甘えた行動をするからギャップがあっていいんだよ!」


 なんなんだろう。真帆ちゃんの知っている漫画か分からないけど専門用語みたいな言葉がよく出てくるよなー。

 後、ヒートアップしてるし、話を聞いてると奥深いことだけはわかった。


「もうすぐしたら日曜日だから楽しみー!」


「「頑張って!」」


 二人にニコニコされながら応援される。


 家に帰ってメールを開くと雫から連絡がきていた。


『何時集合にするか聞いてなかったから教えて』


 初メールだ! 嬉しいー!


『言ってなかったね。9時に雫の家の近くにあるバス停に集合ね』


 なんか素っ気ない感じになったかな。

 仕方ない。送信するか。


『わかった』


とだけ返事がきた。


 そのやり取り以降、メールは、何もしていない。

 これが、ツンデレってことか……。

 そして、約束の遊園地デートの日になった!


 遅刻しないように早起きしたけど一応、メールするか。


『おはよう、今から準備してる』


 これでいいかな。服も選ぶのに時間かかった。

 緊張もしているから洋服の上から胸に手を当てると心臓の音が聞こえるほどだ。


 私服の雫を見れる。


 あっ、雫からメールだ。自分は、結構早く起きたからもう少し時間が経ってメール来ると思ってた。


『おはよう。今、起きた。予定している時間よりめちゃくちゃ早く起きてるね?』


 楽しみすぎて早起きしたとかは言えないな。


『たまたま目が覚めただけだよ』


 よしっ。これでいいね! 朝ご飯、食べよー。

 食パンをトースターで入れておいて、できるまで卵とハムをフライパンで焼く。


 食パンが良い茶色の焦げ具合になっているので、卵とハムを上に乗せたら完成!


 朝ご飯には、丁度いい量だし遊園地についたら、また食べ物とか食べるから少し少ない朝食にした。


 着替えて後は、バス停に行くだけ。

 もう準備できたし先に待っていようかな。


「行ってきますー」


と誰もいない玄関で言う。


 自分の家からバス停に歩いて、五分にあるところなのでゆっくり歩いて行く。


 晴れて良かったー。日差しが、少しあって眩しいが別に気にならない。

遊園地デートが、曇りと雨とかだったら気分も下がるだろうから、そうならなくて良かったと思う。


 バス停が見えてきた。ベンチもあるし、座って待つ。

 数分も経たないうちにベンチに近づいてくる人がいた。


 予定した待ち合わせ時間には、まだ早いぐらいだから別の人かな。


 多分通り過ぎて行くと予想した自分は、暇なので携帯を触る。


「怜、何やってるの」


「ん?」


 えっ。雫!? 腕時計を見ると、予定時刻の結構前よりも早く来ている。早めに来ていて良かった!

 雫が自分より早くを待っているとかを考えたら、さすがに申し訳なく思う。


「まだ来ないと思ってたから携帯触ってた」


「ふーん」


 雫の顔を間近で見るの久々な感じがする。

 相変わらず、可愛い。それに、服も凄く良い。ふんわりとしたワンピースを着ている。雫は、何を着ても似合う。


「一回、こっち見たのに気づかなかったの?」


 表情は、先程と比べると少し寂しそうにしながら言ってくる。


「えっと、遠くから見てたけど私服姿は、見たことないから可愛い子が来ているようにしか見えなかった……」


 隣から雫が、そっかと返事が返ってくる。

 雫の顔が見れないよ。また、怒らせちゃたかな。


 気まずい空気の中、バスが来てくれたから助かった。


 地元の近くには遊園地があるから、あんまり運賃をかけずに行くことができる。


 遊園地についたから雫がお金出そうとするとそれを制して自分が払う。


「えっ、いいよ。私、お金持ってきてるよ?」


 支払われたので自分の財布にお金を入れようとするけど、そうさせないようにする。


「大丈夫だよ。ただ、払いたいから、してるだけだよ」


 それから全部の支払いを自分が済ませていく。


「ねー! 遊園地のチケット、高かったでしょ! 金額教えてよ!」


 大体、雫が財布を出す前に会計を済ませるようにした。


「私が怒ってるから罪滅ぼししてるんでしょ」


「違う」


 雫を見ていると何でも奢りたくなる衝動になるとか死んでも言えるわけがない。


「雫は、ジェットコースターとか大丈夫?」


「うん」


 雫が、ちょっと不機嫌になっている。

 人混みが多いから喧嘩して別行動になるのは、避けたいから雫と手を繋ぐ。


 雫が、自分の顔をめっちゃ見てくる。


「どうしたの? 顔に何かついてる?」


「別に何でもない」


 そっぽを向いてるけど雫も手をそっと握り返してくれた。


 やばい。ドキドキする。

 今の繋ぐの拒否できたのにしないってことは、少しデレが入っていたのではないか?


 あまりに可愛いから雫が目で追っているものは、全部買い与えてしまった。


 そして、ジェットコースターもいっぱい乗って、二人で楽しく過ごす。

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