第14話 昼食

 旅館に戻ると従業員の方が広間に案内されて、一年生のいる自分のクラスに近付く。

 別の学年も一緒に食べるので人が多いし、話し声などが色んなところからする。


「怜ちゃん、雫ちゃん、こっちこっちー!」


 真帆ちゃんが、でかい声で呼んでくれたから迷わずに行けた。


 料理も並べらていて、もう食事もできる状態になっている。


「席についてる人は、料理を食べてもいいぞ」


 先生の声が広場に響き渡って「いたただきます」と言いながらわいわいと一斉にみんなが、料理を食べ始める。


 真帆ちゃんと澪ちゃんがいる場所に行き、二人が座っている正面の席が空いていたので雫と自分で座った。


「澪ちゃんの周り、料理が異様にあるのは、気のせい?」


「賭けで儲けてきた」


 あー、澪ちゃんは、ギャンブル主催者だったけど料理がたくさん澪ちゃんの周りにあって凄いな。


「警察チームに賭ける人が多かったからね。まさか、泥棒チームに体力おばけがいると思ってなかったみたいで見抜けなかった人が多かったんだよ」


 真帆ちゃんが人差し指を立てて、丁寧に説明を加えてくれる。


 しれっと兄貴のあだ名が体力おばけになったんだ。


「へー。そうだったんだ」


 料理を食べて、一息つきながら澪ちゃんが一言。


「盛り上がりすぎて、途中から実況を始めた人もいた」


「それに途中から、みんな無理ゲーだ! 誰も勝てないよ……。って言ってて怜ちゃんを哀れんでたよ」


 真帆ちゃんがそう言いながら先生は、最強キャラだったと興奮してた。


 牢屋では、そんな会話が繰り広げられてたのか。


 四人とも料理を食べ始めてたので自分も目の前にある豪華な料理を食べる。


「美味しい」


 美味しいから無言で料理を食べきってしまう。


「そう言えば、ご褒美って何だったんですか?」


 生徒が校長先生に問いかける。


「旅館のケーキだよ。勝ったチームは、ご褒美を貰いに行くといい」


 勝ったチームの生徒が料理を食べ終わって、ご褒美を貰いに行く。


「怜、このケーキ凄く美味しいよ!」


 ご褒美に配られたスイーツを見せてくる。

 タルト生地にガトーショコラが、乗っていてフルーツや生クリームなどがトッピングされていてとても美味しそう。


「確かに、美味しそう」


「怜、一口あげるよ! はい、あーん!」


 雫が、一口サイズにしてくれたケーキを手で添えながら自分に近づく。


 自分の髪の毛が邪魔だから耳にかけて、差し出されたケーキを食べる。


「あーん。うん、美味いね。ありがとう」


「どういたしまして」


 これ、間接キスじゃね……。綺麗に忘れてたわ。

 雫が使ってたフォークだ。


 このことに雫は、気付いてない。気にしてないと思うからいいか。


 ケーキをもぐもぐ食べている雫の、ほっぺたにケーキの生クリームがついてる。


「雫、ケーキの生クリームがほっぺたについているよ」


 雫のほっぺたについている生クリームを取って、指を舐める。


「あっ、ありがと」


「どういたしまして」


 さっきから、ずっと席の目の前にいる人の視線が痛いな……。

 一連の流れをただじっと見つめてくる真帆ちゃんと澪ちゃん。


「凄く見てくるね。真帆ちゃんも澪ちゃんも」


「小説に使えそうなシチュエーションばっかりしてくれてるから助かるなって思っただけ! もっと、してていいよ!」


 どこから出したか分からないメモ帳に何か書いてる。


「暇だし、二人のことを観察もして、二人を見ている真帆の面白い反応を見るのが好き。この、二つの光景を同時に見れるとか最高」


 澪ちゃんが言ってる大半は、全然理解出来なかった……。


 昼食も食べ終えたし、これから何かするのかな。

 食器が乗っているトレーを持って片付けて広間を出ようとする。


「これから自由時間だから友達の部屋に行って、遊ぶも良い。旅館の中を探検してきてもいいぞ。また広間に集合だから五時に来るように」


 先生が、昼食を食べ終わった人に伝えているみたい。


「分かりました」


「部屋に戻って遊ぼうよ!」


 何をして遊ぶか決めながら自分達の部屋に行った。

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