第19話 兄リュードside学院の悪友ら
先日のリオンは、今思い出しても身体が瞬時に熱くなる様で、昼間に考えたらダメだなと頭を振って紛らわす。
「クックック。お前ここの所、変だぞ?冷血の騎士様の名を返上しないといけないんじゃ無いか?」
悪友の1人ヘンリックは人を揶揄うのが大好物だから、隙を見せてしまった事に舌打ちしたくなった。
「何々?面白そうな話しちゃって。リュードが揶揄われるなんて珍しいよね?何かあったのかい?」
親切なフリして1番腹黒いコイツはジャック。王家の裏を守るポートランド伯爵家の次男だ。
「いや、早く閨の勉強が終わらないかなと思ってね。」
意識してポーカーフェイスで話の矛先を変える。
「ああ、思い出してたの?俺まだ始まったばかりなんだよね。閨の勉強って実際必要なのかなぁって。」
すかさずヘンリックが身を乗り出してジャックを睨みつける。
「あのなぁ、皆んなお前みたいに千切っては投げって手当たり次第に遊んでる訳じゃないんだよ。
ほんとお前は男も女も、歳も関係ないし、節操がないの極みだからなぁ。なぁリュード?。」
「まぁね。ヘンリックのバーモンド侯爵家はお堅い事で有名だから滅多な事出来ないだろ?
俺のスペード伯爵家は親がデロデロラブラブだからジャックみたいな事したら縁切られるよ、絶対。」
「じゃあ経験豊富な俺様からひと言2人にアドバイスをあげよう。
運命の相手ってのは絶対居るんだよ。
俺様はその相手を求めて旅に出てるだけだって。俺の方がよっぽど真面目じゃないか。」
ジャックの真面目なのかそうでないのかよく分からない主張は置いておいて、俺は運命の相手というフレーズに引っかかった。
「…何か今ジャックの口から運命の相手ってのが聞こえたんだけど、それってどこからきたわけ?」
「お前達は勉強不足だから知らないだろうけど、運命の相手に出会う事こそオレらの目指すべき道なんだって。
聖典の60章にも載ってるぜ。
汝、運命を求めよ。運命を掴めば全ての願い、喜びは叶えられん。ってね。」
「へー、で?100人切りしてるジャックは運命っぽいもの感じたわけ?」
相変わらず軽い調子でヘンリックも突っ込んでいく。
「ダメだな。そりゃ寝ようと思うくらいだからそれぞれに魅力を感じる訳だけど。
実際ベッド行ってみると、声がイマイチとか、香りが合わないとか、どこかしら気になる所があるんだよ。
のぼせあがって熱くなるなんて、ほとんど無いわけ。
ああ、俺のダイナミックが熱く猛る運命の相手プリーズ‼︎」
俺とヘンリックは思わず顔を見合わせて苦笑した。
「頑張ってるお前がそんな感じなら、ほとんどの人は運命の人になんて出会えないって事じゃないの?」
ヘンリックは大して興味もない様だけど、俺はこの昂りを感じるリオンのことをまたもや思い起こしていた。
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