第9話 お兄様の急な帰宅
お兄様がお屋敷に帰って来たのはいつもより1週間も早かった。
いつもは月末に帰ってくるのにね。
僕としてはお兄様に早くお会いできて万々歳なので全然良いんだけど。
僕っておっとりしてるって言われることが多いんだけど、ただの間抜けなだけかもしれないな。
王都のカフェでお兄様にバッタリ会った時に言われたお仕置き云々って話、すっかり忘れちゃってたわけ。
だからいつもよりお兄様が帰宅するなり僕にぴったりくっついてるのがただただ嬉しかっただけで、何にも気づいてなかったよ。
お兄様随分寂しん坊だなぁなんて、余裕持ってたくらいで。
いつものようにお兄様のお部屋へ添い寝してもらいに行った僕。
閨のお勉強は未だらしくて、セブには添い寝ダメって言われてないから、今日も一緒に眠れるんだ。ふふ。
相変わらずバスローブを着ると艶っぽいというか、ちょっとドキドキする様な流し目のお兄様。
で、いつものようにニッコリとベットに滑り込んできた。
あー、相変わらずお兄様は爽やかで良い香り。
「リオン、先週王都のカフェで私が言った言葉覚えてるかい?」
僕がお兄様の香りを堪能してるとお兄様が悲しげにでもどこか艶っぽい声で話しかけてきた。
んっと?お兄様の言葉?…あ、もしかしてお仕置きとかその事?
僕は思い当たる節が無かったもんだからスッカリ忘れてしまってたんだ。
「お兄様…。もしかして、お仕置きとか言ってた事ですか?」
僕はお兄様を困らせる様な何かをしてしまったのだろうかとちょっぴり悲しい気持ちでお兄様を見上げた。
「…んぐっ。可愛いリオン、あの時友達と手を繋いでいただろう?
もちろんリオンは優しいからエスコートするつもりで繋いでいたのかもしれないけれどね。
3~4歳の小さな男の子ならともかく、リオンより大きな男のお友達をエスコートはしなくてよかったんじゃ無いかな?」
「…もしかしてユア様にも失礼だったのでしょうか?
ユア様はお身体は僕より大きいですけど、年下ですし、大きなワンコみたいで可愛い方なので、ついエスコートしてしまったんです。」
『どこが可愛いワンコなんだ。どう見てもオオカミだろ…。』
お兄様が何かぶつぶつとつぶやいてるみたいだったけれど、よく聞こえなかった僕。
「それだけじゃ無いよ?カフェの中でケーキをアーンしてたでしょ?
アレは僕たち家族の中だけでやって良い事で、家族以外とやったらとっても恥ずかしい事なんだよ。
私はリオンがユア様にアーンしてるのを見てびっくりしてしまったし、悲しくもなってしまった…。」
エエェ⁉︎お口にアーンてそんなにダメな事だったの?
もしかしてスペード家に恥をかかせてしまっただけじゃなくて、ユア様にも良く無かったのだろうか?
どうしよう。謝罪のお手紙書かなくちゃだ!
僕が1人でアレやこれやと動揺して考え込んでいたら、急に身体が引き寄せられてお兄様が僕の上にのし掛かって来た。
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