第3話 兄リュードside僕の弟リオン
薔薇の香りの中で真っ赤になってはにかむ私の弟が可愛すぎる。
白騎士団長をしてる父の息子である私は、やっぱり剣が得意だった。
でも5歳下の弟のリオンは昔から女の子に間違われる事が多かった。
剣よりも花が似合う弟リオン。
身体が丈夫じゃないせいで皆から甘やかされて少々我儘が過ぎて、3年前は弟ながら面倒だなと思い始めていた矢先、生死の境を彷徨った。
我儘ではあったけれどやっぱり可愛い私の弟。
今でも当時のことを思い出すとゾッとする。
目覚めた時は父曰く記憶喪失になったと心配したらしいのだが、それもゆっくりと回復したようだ。
私は貴族学院に入寮したばかりでなかなかマメに会いに行けなかったのだが、久しぶりに会った際には随分驚かされた。
あの我儘な所がすっかり消えて、はにかみながら言葉を選びつつ私に向ける真っ直ぐな眼差しには随分ドギマギさせられた。
見た目は儚げな天使の様なリオンに、はにかみながらもきらめく笑顔を向けられると何か自分の中に芽生えるものがある様な気がしてしまう。
しかも我儘で内弁慶だったリオンは、自分から料理長に相談して新しいお菓子を生み出したり、馬車の乗り心地を良くしたりと色々アイデアを出して実行している。
以前はリオンの我儘に振り回されていた屋敷の者達だったが、我儘どころか常に礼儀正しく優しい天使のリオンになったおかげで、今や屋敷の皆リオンにメロメロと言っても過言ではない。
もちろん私もメロメロで、可愛過ぎてついつい抱きしめて頬に口付けてしまうのはしょうがないと思う。
学院にリオンからの手土産の新しいお菓子を持ち込むと色々な奴らが待ち構えていて奪わんとするのを阻止するのも毎度大変だ。
最近はリオンに会わせろという輩まで出てくる始末。
リオンはまだ社交デビューしてないので顔バレしてないはずだが、これで天使の様だと知られてしまったら困ったことになるのがわかり過ぎるので何とか阻止してるのだ。
さて、そろそろリオンが私と一緒に眠るために部屋に来る頃かな?
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