消しカス


 消しゴムを使うとき、どうしても出てしまうのが消しカスである。

 それにしても、消しカスの厄介さと言ったら、もうそれはそれはひどいものだ。何が厄介ってそりゃ、あのまとまりの無いところだろう。

 消しゴムで消したあとは、あいつらが机の上に散乱し、視界を妨害してくる。どうやら消しゴムの中には、カスがまとまってくれるやつもあるらしいが、そのためにカスをまとめるという作業が増えるのも、何か憎たらしいというか、うざったい。

 あのカスに、腹を立てて机からはたき落とすと今度は床が汚れる。しかもカスのくせに妙に目立つ。それなりに綺麗が好きな私には、許しがたい光景なのでやはり拾う。しかし、拾うにも労力を使う。まったく、人のことを考えんやつだ。

 それにしても、このまとまりが無いところや、人を思わぬ態度、そして、元である消しゴムに意地でも戻ろうとしない頑固さは、家出少年または、家出少女を彷彿とさせる。

 親である消しゴムに嫌気さし、家を出て絶対帰ろうとせん。しかも、それを私が拾うと、他人とまとまろうとせず、しまいには私の恩を忘れ、ひどい態度をとる。まったく、こんなカスはさっさと消しゴム警察、消しカス科にでも引き取られて説教されたらいい。

 

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